ソニーミュージック、なぜYouTuber支援事業をスタート？ キーマンに聞く“後発ならではの戦い方”
「一旦”個”にまで解体されたものが、“ユルいチーム”になっていく」
ーーこのタイミングで、成熟しつつある動画クリエイターに関する事業を立ち上げたということは、その先にやってくるであろう”次の時代”を見据えた取り組みも視野に入れている必要があると思います。そのあたりはどのように考えていますか？
三浦：僕たちは『Be』を“ソーシャルクリエイターレーベル”と名付けていて。自分たちが音楽レーベルだからそこに魅力を感じているところもあるとは思うんですが（笑）、クリエイター同士のユルい繋がりやコミュニティが価値を生み出すと思っているんです。百人単位で作品を作る映画のようなものもあれば、それに次ぐテレビのような規模から、バンドのように少人数の繋がりもあるなかで、YouTuberはほとんど個人単位での制作ですよね。
今後は、その“人数”がもう少し増えるフェーズに入ってくると思うんです。「『踊ってみた』のこの人はこのイラストレーターの人と仲がよくて、同じ映像クリエイターを起用している『歌ってみた』のこの人とも繋がっていて……」という関係性が可視化され、そこに価値を見出す時代になってくる。一旦”個”にまで解体されたものが、“ユルいチーム”になっていく時代になる気がします。そんなときに、面白いものをいっぱい作りたい、YouTube以外のこともやりたいという人たちが、YouTubeを活用しつつ、色んな能力を持った人が集まるレーベルとして別の価値を提供できていたら、そこで生まれるコラボレーションが次の時代を牽引するエンタテインメントになるんじゃないかと思います。
ーーグループYouTuberが覇権を握っていたり、VTuberでも“箱推し”文化が定着したりと、たしかに“相関図ごと愛する文化”になりつつあるのは肌で感じています。立ち上げ時のニュースを拝見して思ったのですが、ソニーミュージックとしては珍しい“顔の見えるチームづくり”をしていることも印象的でした。
三浦：これは自己反省でもありますが、SHOWROOMに行っておきながら、前田（裕二）くんのスタイルを踏襲できていなかったなと（笑）。個の時代になっているという前提で話すと、「顔の見えない人たちをどう信頼するのか？」という考え方になるのは当然で。なるべく個人として発信をしなければいけないし、顔が見えていたほうが信頼される、という時代的には当たり前のことをやっただけなんです。また、『Be』はクリエイターとしての自己表現を叶えていくのと同時に、好きで働いていて何かしらのクリエイティブに携わっている僕ら自身の“Be”でもあると思っています。
ーーなるほど。オーディション後の流れについては、どのように進んでいくのでしょうか。
三浦：3月いっぱいで一度お会いしたい人を選んで、4月上旬から面接をスタートし、5月くらいには第一弾の所属クリエイターの発表をして、そこからスタートできればと思っています。所属クリエイターは20～30組ほどを想定していますが、それとは別に、今後コミュニケーションを取っていきたい人たちの枠も別途用意しようと思っています。
ーーソニーミュージックにおけるSD（新人発掘部門）のような。
三浦：まさにそうです。育成枠的な名前になるのかどうかは未定ですが。
ーー最後に、アセットを活用するという意味では、現在ソニーミュージックに所属しているミュージシャンやタレントさんなどが、今回所属することになるクリエイターや、彼らが持つノウハウをどう活用していくのか、というのも気になります。
三浦：今回の事業立ち上げタイミングで、すでに社内のアーティストや担当スタッフから「プロモーションとしてコラボしてみたい」「アーティストのYouTube活動をサポートをして欲しい」という問い合わせも多くもらっています。アーティストやタレントに応じて、単発のコラボレーションなのか継続的な発信をするチャンネル立ち上げになるのかはケースバイケースですが、社内におけるマッチングを積極的にやっていきたいとは考えていますね。今回募集している第一弾のクリエイターが、ソニーミュージックのアーティストやタレントのYouTube活動でコラボするような企画ができたら、単純に面白いだろうし、僕らだからこそやれることだろうなと思います。
■オーディション情報
『Be』所属クリエイター募集
対象者：ご自身が表現者となって、動画チャンネル／メディア／アカウントを運営される方
＜募集資格＞
年齢 / 国籍不問
・2次審査以降の審査に参加できる方
（面接は東京都内で実施しますが、遠方の方は、ビデオ通話での審査も可能です）
・特定のMCNに所属がない方
・ご自身のYouTubeチャンネルをお持ちの方で、ご自身のアカウントに動画コンテンツを公開している。
※今回の募集は動画クリエイターを対象とし、写真での表現活動のみの方は対象となりません。
※18歳未満（未成年者）の方のご応募に際しては、保護者の方の同意が必要となります。
〈第1弾所属クリエイターに選ばれた後のサポート〉
エージェント「Be」への所属後のサポートに向けて事前にご確認ください。
ご自身のYouTubeチャンネルを「Be」（MCN）にご登録いただきます。
ソニー・ミュージックエンタテインメントとの契約を締結させて頂きます。
チャンネル戦略立案、動画制作のサポート、企業案件のマッチング等に加えて、クリエイターのニーズに応じて多面的なサポートを行っていきます。
〈応募方法〉
・公式サイトで応募可能です。
・詳細は「Be」公式サイトを参照ください。
・公式サイト：https://be-official.jp
〈募集スケジュール〉
応募期間：2020年2月28日（金）から 2020年3月22日（日）23:59 まで
1次審査：応募作品を順次審査
※審査通過者には、2020年3月末日までにご連絡します。
2次審査：2020年3月上旬より順次面接審査を行います。
