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VAZ渡辺広輝氏に聞く、『Mel』&『MelTV』成功要因と新たなビジョン

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 YouTuberやTikTokerなどで活躍する、若年層に強い影響力を持ったインフルエンサーを多くマネジメントしている株式会社VAZ。なかでも、サービスとして大きくスケールしているのが、美容系ガールズYouTubeチャンネル『MelTV』を含む、女性向けメディアプラットフォーム『Mel』だ。直近でも、姉妹チャンネルとなる『めるぷち』を立ち上げるなど、さらにその規模を拡大している。

 インフルエンサーを抱える同社が、メディア事業を展開・活用する理由とは。株式会社VAZのCOO(最高執行責任者)である渡辺広輝氏にインタビューを行ない、『Mel』立ち上げの理由や成功要因、ライブコマースなど新たな動きに向けた展望などについて、じっくりと話を聞いた。(編集部)

 「この掛け合わせが見たいから『Mel』を見る」で軌道に

株式会社VAZ COO(最高執行責任者)の渡辺広輝氏。

ーーまずは、美容系キュレーションメディア『Mel』、YouTubeチャンネル『MelTV』を立ち上げたきっかけについて聞かせてください。

渡辺:立ち上げた2017年当時、YouTubeの企業チャンネルはかなり少なくて、いくつか大きなものが出てきたくらいのタイミングだったんです。当時はどちらかといえば、DeNAをはじめとする各社が展開していたキュレーションメディアが流行し、『WELQ』の騒動を経てメディアのあり方が少しずつ変わろうとしている時期でした。これまで各社ではSEOを重視したWebメディアを作っていましたが、個人的には「人」に焦点を当てたくて。同時期にメディアとしてYouTubeが伸びてきたこともあり、「女性YouTuberを集めて、女性向けメディアを立ち上げることができるのではないか」という仮説をもとに『Mel』を立ち上げました。あくまで『MelTV』は『Mel』という分散型メディアのうちのひとつだと捉えてもらえると嬉しいです。

ーーいわゆるメディアプラットホームとしての『Mel』が立ち上がり、そこから『MelTV』などが誕生したわけですね。そもそも、なぜ渡辺さんはメディア事業を手掛けようと思ったんですか?

渡辺:僕はVAZに入る前まで、キュレーションメディアを運営する会社で働いていて、そこで大学の先輩である森(泰輝/株式会社VAZ 代表取締役 CEO)に誘われて入社したんです。入社するまでは何も決まっていなくて、働き始めてから1~2カ月くらいで考えて立ち上げたのが『Mel』の企画でした。

ーーなかなかそのスピード感は真似できないですね。

渡辺:ただ、それがすごく上手くいっていたかというと、難しいところで。一本目の動画からクオリティが高いかと言われればそうでもないですし、毎日アップしていくなかでPDCAを回して改善していきました。

ーースタートしてから、手応えを感じたタイミングは?

渡辺:個人的には「きちんとしたメディアとして認知されつつも、出演者たちがチャンネルを作っているように見える状態」が新しいメディアのあり方だと思っていて、そこに向けてさまざまな施策をやっていました。たとえば、「この二人の組み合わせのときだけこういう挨拶をする」など、こちらで相性がいいと思った組み合わせを選ぶとか、そういうことを繰り返しているうちに、出演者の個人チャンネルではなく、「この掛け合わせが見たいから『Mel』を見る」という選び方をされるようになったタイミングで、一気に軌道に乗った感覚がありました。

ーー個人のパワーもありながら、そこにしかない掛け合わせを生み出す“編集”がメディアとしての独自性に繋がったと。キュレーションメディアにおけるSEO対策のような、テクニカルに工夫したポイントはあるんですか?

渡辺:Twitterだと「リツイート」、Instagramだと「おすすめ」のように、YouTubeで動画を伸ばすには「関連動画」に載るかどうかが大きなポイントです。いかに「関連動画」に載せるか、という工夫に関しては、チャンネル登録者や狙っているユーザー層が見ている動画をリサーチしたり、カバンの中身紹介のようなYouTuberの定番企画に近いものをいろんな組み合わせで作ったりしました。そういうYouTube内でのSEO的な観点を持って、ノウハウを作っていったところはありますね。

ーーいかに視聴者が見ている/気になる企画をリサーチして、そこに何を当てるかの繰り返しということですか。

渡辺:そうですね。YouTubeだからといって特別な手法があるわけではなく、根本的な考えは一般的なマーケティングと同じだと思うんです。『MelTV』のコンセプトは、「カワイイをアップデートしよう」というものなのですが、完全な美容系メディアかというとそうではありませんし、かといってエンタメメディアに振り切っているわけではない。「エンタメ×美容」のなかで「カワイイをアップデートしよう」というポジションをとって、その中でコンセプトにマッチした企画をしっかりやっていくことで、「こういう動画が見たいときは『MelTV』を見てみよう」というイメージづけをできたことが大事だと思っています。たとえば、デパコス(デパートコスメ)の新作レビューのようなことは、あえてやりませんでした。それは美容系や元美容部員のYouTuberさんがやっている個人チャンネルのほうが適していて、自分たちの守備範囲外だと考えたからです。その結果として、『Mel』というメディアにしっかりファンがついてくれました。

ーー動画やコンセプト、メディアとしての設計の仕方を伺っていると、動画メディアやWebメディアよりも、ティーン系の雑誌やファッション誌を中心とした紙のメディアをベンチマークしているように思えました。

渡辺:雑誌はかなり参考にしましたね。

ーー『Mel』は女子中高生をターゲットにしているということですが、その理由は?

渡辺:単純にYouTubeユーザーで一番多い年齢層が中高生だからです。考え方としては「取りたい層を取りに行く」「多くいる層を取りに行く」という両軸があると思うのですが、『Mel』の場合は『MelTV』で一番取れる層を狙っていきました。もちろん、購買意欲が高くて行動に繋がりやすいのは20代以上だと思いますが、いきなりメディアとしてそこを含めて広くターゲティングしても、うまくハマらずに登録者は増えません。それよりも企業チャンネルとしてまずチャンネル登録者数を伸ばすことに意義があったんです。ただ、結局どういうコンテンツを作って、どういうメディアにして、どの年齢層を取っていくかは、所属しているクリエイターが軸になっています。

ーー目先の売り上げやコンバージョンではなく、クリエイターや視聴者ありきでの考え方なら、前例がない状況であっても軌道に乗せればそのほかは自ずと付いてくるだろうと。

渡辺:そうですね。そうした軸をブラさずに続けていった結果、企業チャンネルの美容メディアとしては日本一のチャンネル登録数になることができました。

ーー所属クリエイターも、当初から参加している方だけではなく、新たなスターが登場しています。そのクリエイターの傾向は、渡辺さんから見てどう変化していますか?

渡辺:今出ているメンバーと、1年前に出ているメンバーは8割ぐらい入れ替わっています。メンバーがかなり多くなった時期もあったのですが、『MelTV』の姉妹チャンネルとなる『めるぷち』ができ、出演メンバーはその都度変わり続けています。最近の傾向に関しては、認知も広がり、人に依存していない状態になって、良い意味で落ち着いています。ただ、それがものすごく良い状態かというと、そうでもない。つまり、メディアとしては次のスターを出していかなければならないと思っています。いまは『MelTV』から沢山のスターが世に出て頑張っていて、『MelTVで頑張りたい』と言っている子も増えている状況なので、今後もしっかり見据えながら、模索することをやめてはいけないと考えています。メディア・人依存のバランスも、これからの状況によっては変わっていくかもしれません。

ーーそんな状況で『めるぷち』を立ち上げた理由は?

渡辺:VAZとしては、『Mel』の経済圏を広げていきたいと思っていて、『めるぷち』はそのなかで立ち上げたチャンネルです。『MelTV』よりも対象年齢が下のメディアなのですが、これはYouTubeを見ている小学生・中学生が多いことや、なりたい職業ランキングでも男女ともにYouTuberが上位にランクインしたことなどを受けたもので、出演しているさくら、みなみ、おさきはTikTok出身。もともと小・中学生にリーチできるインフルエンサーでした。

ーーTikTokerをYouTuberとして起用したんですよね。

渡辺:そうです。『めるぷち』を立ち上げる前段階として、この1年間でまさにTikTokerをYouTuber化するということをやってきて、TikTokerのマネジメント事務所としても国内一位のフォロワー数を得ることができたので、その取り組みは大いに成功しました。

      

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