テスラ“自動運転による死亡事故”、運転手はスマホに夢中も同社の責任は「非常に重大」
アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)は2月25日、TeslaのモデルXのオートパイロットがカリフォルニア州マウンテンビューで起こした2018年3月23日の死亡事故について聴聞会を行った。
自動車6社に勧告もテスラだけ対応せず
当時Appleのエンジニアだったウォルター・フアン氏(享年38歳)は、101号線と85号線の分岐点で時速71マイル(約114.2km)でコンクリート分離帯に衝突し、病院に搬送されたが死亡が確認された。
『Fox News』によると、自動車の前方衝突回避システムは警告を発さず、自動緊急ブレーキは作動しなかったとのこと。Teslaを相手取り訴訟を起こしている遺族によると、フアン氏は以前から、オートパイロットが同じエリアで誤作動を起こすことに対して不満を漏らしていたという(参考:https://www.foxnews.com/auto/tesla-driver-video-game-fatal-crash-ntsb)。
これに対し、Teslaは「オートパイロットは半自律運転で、運転手は常に注意を払っている必要がある」と主張。運転手がハンドルに力を加えているかを検知し、視覚的・聴覚的な警告を発するが、NTSBはそれでは不十分だと糾弾した。
NTSBのロバート・サムウォルト委員長は、2017年にこの問題を防ぐために自動車メーカー6社に勧告を行ったが、テスラだけ対応がなかったと指摘していたりと、両者の溝は深い。
ゲーム開発者が、Apple支給のiPhoneでゲームプレイ中の惨劇
また、事故当時、衝突を回避するためのブレーキやステアリングの動きは検出されなかったと報告されている。
事故の瞬間には、運転手がスマートフォンでゲームをプレイしていた記録があることも分かっているが、NTSBは「運転手だけの責任ではなく、Teslaがこの技術の誤作動を予測し、防止できなかったことが非常に重大だ」とした。
さらに、分離帯に備え付けられた金属製の衝突衝撃緩衝具が、以前のたび重なる衝突でクッションの機能を果たさなくなっていたことも問題視した(参考:https://www.npr.org/2020/02/25/809207519/tesla-driver-was-playing-game-before-deadly-crash-but-tesla-software-failed-too?t=1582993517851)。
なお、フアン氏はゲーム開発者で、Appleから支給されたiPhoneで『三国志 Three Kingdoms』をプレイしていたため、NTSBはAppleの社内ポリシーにも抜かりがあるとしたが、Appleは、従業員は法律に従うことが求められると反論している(参考:https://mashable.com/article/tesla-crash-autopilot-video-game/?europe=true)。