カラオケはなぜフィンランドで進化? 仕掛け人に聞く“いつでもどこでもカラオケ”誕生秘話
日本で『Singa』を楽しむ日は来るか
筆者個人としては、これまでのフィンランドのカラオケは日本のカラオケに大きく劣ると考えていた。しかし同時に今回のインタビューでは、フヤネン氏が述べたように音楽や動画のストリーミング、サブスクリプション式電子本など、カラオケ以外のサービスが次々とサービスとしてソフト面で進化を遂げ、モダン化され利便性を増していく中で、カラオケ業界全体が進化の波に取り残されているというのも認識することとなった。
『Singa』はそこに革新をもたらすサービスであることは間違いないだろう。もちろん日本にも類似サービスがないわけではない。日本の大手、第一興商の『おうちカラオケ「カラオケ@DAM」』は、スマホ、ブラウザ、ゲーム機など様々なデバイスでカラオケが楽しめるサービスだ。しかしデバイスにより提供されている機能が異なったり、料金プランも別となるなど利用者の観点からの使い勝手は『Singa』の方が上だ。その一方で『Singa』には存在しない歌唱採点システムなどの独自性も持っている。
海外に暮らしていて筆者がよく感じるのは、日本のサービスの多くは日本国内市場に特化しすぎていて日本の外に進出することが難しいということ。「ガラパゴス化」というのは的を得た表現であると思うが、国内市場で受け入れられても世界で受け入れられるユニバーサル性を持たないのであれば、逆に全世界で通用するサービスが日本に来たときに生き残れるだろうか?
日本に生を受け、フィンランドで進化したカラオケ。今後の展開に注目だ。
Source: Oodi, Helmet, 『おうちカラオケ「カラオケ@DAM」』
■Yu Ando
フィンランド在住フリーライター。執筆分野は、エンタメ、ガジェット、サイエンスから、社会福祉やアートに文化、更にはオカルト系まで幅広い。ライター業の傍らアート活動も行っているほか、フィン・日両国の文化を紹介する講演を行うことも。趣味はガジェットへの散財。
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