大阪発モバイルバッテリーが、世界的クラウドファンディングサイトで大健闘
Makuakeでの成功
もしかしたらクラウドファンディングに興味のある読者の中にはSMARTCOBYを見て「あれ?これなんだか見覚えがあるぞ?」と思った方もいるかもしれない。
何を隠そうSMARTCOBYは、日本では既に今年9月にクラウドファンディングサイトMakuakeでキャンペーンが行われたものだ。Makuakeでは目標金額がKickstarterキャンペーンと同じく30万円であったが、キャンペーン終了までに1325人から目標金額に対して1697%となる509万3540円を集める人気キャンペーンだった。
株式会社CIOはこのほかにもMakuakeでは過去に2度のキャンペーンを成功させており、日本でのクラウドファンディングはもう手慣れたものということだろう。その自信が海外への挑戦に繋がったのだろうか。
出渋る日本のテック系
世界中の人々に向けてキャンペーンを展開する事のできるKickstarterではあるが、日本発(を自称する)キャンペーンはそう多くない。テック系キャンペーンに限れば、2009年のローンチから今までの10年間で僅かに160、うち成功しているのは半数以下の75だ。
https://www.kickstarter.com/discover/advanced?category_id=16&woe_id=23424856&sort=most_funded&seed=2597017&page=1
https://www.kickstarter.com/discover/advanced?category_id=16&woe_id=23424856&raised=2&sort=most_funded&seed=2597017&page=2
加えて、KickstarterやIndiegogoで実施された海外ブランドのキャンペーンが後にMakuakeやGreen Fundingなど日本のプラットフォームで行われるのはよく目にするが、日本のクラウドファンディングで成功したものが海外で成功を収める例もやはり比較して少なく思う。
「クラウドファンディング」とひとまとめに言っても、プラットフォーム間で文化が違うのは当然のこと、キャンペーンの実施に関してはマーケティングや出資者とのコミュニケーションなどの面でも日本と海外での文化の違いも存在する。単に自社が世に出したいモノを出すと言うだけで無く、それが人々にどれだけ理解され、出資しても良いと思わせることができるか、人気の動向を見極めることも大切だろうし、そして何よりも顔の見えない相手から信頼を得ることができるかどうかも重要・・・というのは日本でも言えることだが、これらの事々を世界中の人々を相手に考えないといけない。
仮にキャンペーン自体が成功したとしても、国際規格への適合、国際発送や関税に関するゴタゴタ、返品返金処理に政治事情に関わるなど、様々なリスクが待ち受ける。それらに対応しきれるのか不安に思い、海外でのキャンペーン実行に踏み出せない日本の企業も少なからずあることだろう。
このような状況がある中で、海外で健闘中のSMARTCOBYの姿を見ることは日本人として嬉しいことだ。モバイルバッテリー製品としての魅力もあるだろうが、30万円という目標金額の低さも現時点での成功の要因だろう。
ひとまず目標金額を達成したSMARTCOBYは現在、世界最大手の広報通信社PRニュースワイヤーを通じて海外向けにプレスリリースを発表したり、アフィリエイトリンクにより出資者がキャッシュバックを受けることのできるKickboosterなどを利用することで更なる出資者を集めようとしている。
だが果たして500万円を超える資金を集めた日本での成功をKickstarterで再現できるだろうか。キャンペーン終了まで残り23日。大阪から世界に羽ばたきだしたSMARTCOBYは、果たして終了までにどれだけの成果を出せるだろうか?
(画像=「SMARTCOBY」公式サイトより)
■Yu Ando
フィンランド在住フリーライター。執筆分野は、エンタメ、ガジェット、サイエンスから、社会福祉やアートに文化、更にはオカルト系まで幅広い。ライター業の傍らアート活動も行っているほか、フィン・日両国の文化を紹介する講演を行うことも。趣味はガジェットへの散財。
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