Instagramのカメラエフェクトが誰でも作成・公開可能に モバイルAR市場を活性化させるか?

インスタ、カメラエフェクトが誰でも作成可能に

成長前夜のAR市場

 ところで、Spark AR StudioがパブリックベータとなったことはAR市場にどのような影響を与えるのであろうか。この問いかけに答えるには、調査会社Digi-Capitalが今年1月に公開したブログ記事が参考になる。このブログ記事は、AR/VR市場の現状と今後の動向を報告している。

 同記事によれば、スマホARアプリが形成するモバイルAR市場をけん引する企業は、ARプラットフォーム「ARKit」を提供するApple、「ARCore」を運営するGoogle、そして前述のSpark AR Studio擁するFacebookである。Spark AR Studioが一般ユーザに開放されたことは、同プラットフォームがARKitおよびARCoreと対等な市場的地位を獲得したことを意味する。というのも、ARコンテンツ開発者は開発手段としてSpark AR Studioを正式に選べるようになったからである。

 ちなみに、考察する観点をAR/VR市場全体に拡大すると、2023年にはAR市場がVR市場より大きくなり、さらにはスマートグラス市場がもっとも大きなシェアを獲得することが予想されている(下の画像参照。スマートグラス市場は緑)。スマートグラス市場の成長をけん引すると見られているのが、Appleが開発中のiPhone接続型ARメガネだ。この製品に関してはApple製品専門ニュースメディア『Cult of Mac』が先月31日、一時は開発チームが解散したという噂が流れたものも、新しい開発リーダーとしてKim Vorrath氏が着任したことを伝えている。同氏はAppleのOS開発を15年に渡り支えてきた実力者にして功労者である。

Digi-Capital「For AR/VR 2.0 to live, AR/VR 1.0 must die」

 画像共有アプリにおいてカメラエフェクトが「当たり前」の機能になったことから分かるように、ARテクノロジーは着実に世界に浸透している。Spark AR Studioに対しては、ARテクノロジーにさらなる多様性をもたらすことが期待できるだろう。

トップ画像出典:Tech@facebookブログ「Creativity for all: Facebook’s Spark AR now lets anyone build and share effects on Instagram」より画像を抜粋

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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