『テラスハウス』東京編:第1~4話おさらい 壁のない家・性格・言動が彼らを加速させる

『テラスハウス』東京編:第1~4話おさらい

 翔平と同じく春花も、一面的な見方ではあるが「ズバズバと物を言う女性」としての側面を多く覗かせている。思ったことを口にせずにはいられないというような雰囲気が、女子部屋での香織との会話や、翔平の仕事観に対抗する姿などから垣間見えていたが、ここで取り上げたいのは、1階リビングにいた春花が2階の女子部屋にいる香織に声をかけた場面。取り留めのない日常の些細な風景ではあるが、この家の構造もあいまった「壁(しきり)のなさ」に注目したいのだ。

 おそらく3階まで吹き抜けが続く開放感のあるこの家は、壁やしきりが少ないことによって、すべての部屋がつながっているような感覚を抱かせはしないか。女子部屋の窓からリビングが見えるという家の構造が、第1話ではじめて部屋を見た女性陣によって発見されたりもしていたように、そんな風にしてどこにいてもみんなが同じ場所にいるという、ボーダーレスな雰囲気を与える家が今回のテラスハウスの舞台となっている。そうするとどこにいても、声をかけようと思えばかけてしまえるのだ。

「女子部屋、見にいってみたいな」

 ケニーのそんな小言を掬い上げて、すぐに「香織ちゃーん! 忙しい?」と2階の部屋で仕事をしている香織に迷いなく声を通した春花。ケニーの少し困惑気味な表情からも、その対比が浮き彫りになったのではないだろうか。これは、春花がケニーにギターを教えてもらった、第2話の夜のことだ。春花や翔平の「壁のない性格」に発破をかける、「しきりの少ない家」。そこに住む6人の関係は、どんどん加速するのではないかと期待が膨らむ。


 こうした翔平と春花にあらわれる壁のない性格とはまた異なる形で、流佳も壁を感じさせない性格をした男の子であることが、だんだんと明るみになってきた。翔平や春花が意識的に壁をぶち破っていく人たちだとしたら、流佳は無意識下で知らぬ間に壁を超えている存在であると言えばよいだろうか。笑ったときに顔がくしゃっとなるかわいさや顔の赤らみ、「プレーン」を何かの味付けだと思ったという天然さ、小動物のようにソファに横たわる姿や「夢に出てきた」とさらっと言えてしまうあたりなど。第3話で、「わかってないのに(流佳は意識的にやってないのに)、女の子はみんな好きになるタイプだと思う」と莉咲子は警戒心を少しあらわにしながらも、それでも好きになってしまう。魔力のようなものが、彼からは発せられているのだろうか。

 そんな魔力に引き出されるようにして思わず口をついて出た「付き合って」の5文字。莉咲子も莉咲子で、流佳と同じく無意識のうちに壁を突破してしまうタイプの女性であるような気はするが、その思いに流佳はどう応えるのだろう。高嶺の花的な春花への想いを募らせるのか、莉咲子との関係をさらに深めていくのか。「テラハ史上最大のアイドルかもしれない」とスタジオメンバーが言うように、間違いなく現在、この家の主役になっているのは西野入流佳に違いない。

今後の山ちゃんの言動が気になる

 鋭い観察眼と的確な言葉選びによって生み出される山ちゃんの皮肉的な発言は、テラスハウスの魅力のひとつだろう。先日、蒼井優との結婚が発表されたばかりであるが、そうなると今後の言動がとても気になるところ。「これからもチャラチャラとモテてる人には怒りを持たないかといえば…持つと思います」と結婚しても今までと変わらない姿勢で臨むことを記者会見の場で宣言していた山ちゃんだが、そうは言っても、である。

 例えば軽井沢編で、SKE48のイベントに行くからと言って亜未の卒業当日に居合わせることができなかったつば冴に対して辛辣な意見をぶつけることもあったが、今後は違う目線になるはず。なぜなら、アイドルに人生を捧げる人の気持ちを、もう山ちゃんは知ってしまっているから。人の考え方というのは大きな出来事が起こらずとも日々変わりゆくものだから、結婚して特別どうこうという話ではないかもしれない。しかし、愛する人との結婚生活のなかで新しい視点を与えられるということは必ずあるはずで、ここを契機に変化する山ちゃんの発言も、大いに気になるところなのだ。なんにせよ、テラスハウスの新シーズンもかなりおもしろいものを見せてくれそうで、次週がとっても待ち遠しい。

「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」は
2019年5月14日よりNetflixにて毎週火曜に新エピソード先行配信(4週に1週休止)
2019年6月11日よりFODにて毎週火曜深夜0時に配信予定(4週に1週休止)
2019年7月よりフジテレビにて、地上波放送予定
(C)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

■原航平
1995年生まれ。ライター/編集。映画やドラマ、演劇などのカルチャーをこよなく愛する。テラスハウスは日々の癒し。大学時代の卒業論文の題材は「疑似家族を描く日本映画にみる“新しい家族のカタチ”」。Twitterブログ

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