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スーファミ版『幽☆遊☆白書』と“放課後暗黒武術会”に学んだ、「面白ければ支持される」という忘れがちなこと

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 「面白い」は、強く、すべてに優先する。今回の記事では、このシンプルな、しかし忘れがちなことを痛感した思い出話をしたい。あれは私が小学生の頃。まだゲームは家庭用ゲーム機、スーパーファミコンが主流だった時代の話だ。私は1本のゲームと出会い、「面白い」の強さを知った。ナムコの『幽☆遊☆白書』(1993年)である。

『幽☆遊☆白書』(1993年)

 90年代ジャンプ黄金期を支えた大ヒット作であり、今日でも強烈な影響を与え続けている『幽☆遊☆白書』。霊界探偵の浦飯幽助が、個性豊かな妖怪たちと戦うジャンプの王道的バトル漫画であり、冨樫義博先生ならではのダークなスパイスも効いた説明不要の傑作だ。本作はそのゲーム化作品である。バトル漫画が原作であるから、もちろんジャンルは対戦ゲームだ。当時は対戦格闘ゲームが大流行しており、同じくジャンプで連載していた『ドラゴンボール』の対戦ゲームなども既に存在した。私は対戦ゲームが当時から苦手だったのだが、『幽☆遊☆白書』は大好きだった。ゲーム単体というより“『幽☆遊☆白書』に関する何か”として、どうしても欲しくなり、『ミナミの帝王』の負債者ばりに両親に土下座。発売日には手にすることができた。

 そして開封の日。今では信じられない話だが、私はこのゲームが対戦形式らしいという情報以外、どういうゲームかほとんど把握していなかった。「『幽白』のゲームが出るらしい」と知ったときから、恐らく既存の対戦格闘ゲームに近い形だろうと(ネットもない時代で、ファミ通も読んでいなかった)勝手に予想していたのだ。しかし……実際にゲームを起動してみて驚いた。全然違ったのである。それは生まれて初めて触れるシステムであり、それ以降も触れることのない極めて独特なシステムだった。

 本作は「ビジュアルバトル」というシステムを採用している。しかし、このシステムを文字だけで完全に説明するのは非常に難しい。正直、YouTubeでプレイ動画を見てもらうのが一番だろう。ざっくり説明するなら、対戦格闘ゲームでありながら、『ストリートファイター』のような格闘ゲームではなかったのだ。ゲーム上には自分と対戦相手の絵が表示され、ゲージが溜まれば何らからのアクションを行えるようになり、コマンド操作によって攻撃/防御/必殺技を出し合う。プレイ感は対戦格闘ゲームよりもコマンド選択/ターン制のRPGに近い。あまりに触れたことがないスタイルのゲームだったので、最初はかなり戸惑った。自由に遊ぶには覚えることが多く、まずは独特なシステムを理解し、自キャラ/敵キャラの技を覚え、相手の行動を先読みすることが求められた。「難しい」「分かりづらい」そう思ったのは事実だ。それでも続けられたのは、原作の再現度の高さと、つまるところ面白かったからだ。今でも昇竜拳が出せない私だが、このゲームの技は出せた。覚えることは多いが、操作性はシンプル。このバランス感覚に救われた。ストーリーモードの難易度も程よく、クリアしたときは思わずガッツポーズをした記憶がある。

 そして、このゲームを面白いと感じたのは私だけではなかった。大ヒット漫画のゲーム版であるから、もちろん同級生たちも本作をプレイしていた。彼らも買った当初は一様に「難しい」「ワケわからん」と不満を口にしていたが、気がつけば互いに攻略法をシェアするなど、やり込むようになっていた。見事なまでの手のひら返しである。しかし、この変化を目撃したとき、私は「面白い」ということの強さを痛感した。やがてゲーム熱はクラスを覆い、対戦格闘ゲームらしく、放課後に誰かの家で集まって「大会」が開かれるようになるのだが……。これが悲劇の始まりだった。

      

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