たすくこま、ゆゆうた、虹色侍……個性を武器にする“歌ってみた”系アーティストたち
YouTuberのコンテンツとして今や定番となっている”歌ってみた”動画。”歌ってみた”がきっかけとなって新しい楽曲に出会うことも珍しくなくなった。原曲にあまり手を加えないシンプルなカバーが多いこのジャンルだが、独自の路線で活動を行い脚光を浴びている者もいる。本稿では個性的な“歌ってみた”で今、特に注目され始めている3組を紹介していく。
たすくこま
2011年から替え歌をYouTubeに投稿し続けているたすくこま。共感できる歌詞と高い歌唱力からチャンネル登録者数は48万人にも及ぶ。普段は蕎麦屋の店長として働いているという彼は、食べ物ネタや自身の体形をネタにした歌詞を多く書いており、合唱曲「旅立ちの日に」の替え歌「デブたちの日々」は公開から1年で再生回数780万回を突破している。
先月には同じYouTuberのヒカルとピンキーによるユニット「カルxピン」の楽曲「俺たち金持ちYouTuber」の替え歌「俺たち金無しYouTuber」をウタエルとのコラボとして公開。替え歌系YouTuberの代表格である二組のコラボは大きな反響を呼んだ。加えてラファエルのYouTubeアカウント停止から1週間も経たないうちでの公開だったため、話題性も大きく再生回数は22万回(2019年3月10日現在)を超えている。また、ウタエルのチャンネルでもたすくこまの自己紹介ソングとして「デブエルのテーマ曲」を両者で歌っている。
長い活動期間で着々とファンを獲得してきたたすくこまは、2月28日に完全オリジナルフルアルバム『デブでもいいさ』を発売した。替え歌による”ネタ感”が先行しがちだが、オリジナル楽曲からは改めて高い歌唱力と活動に対する誠実さが伝わってくる。発売日には【替え歌デブYouTuberが本気でMV撮ってみた】と題し、「ネガイゴト」のMVも公開された。実力、実績ともに申し分ない、歌ってみた系YouTuberの第一人者である。
ゆゆうた
今最も勢いのある配信者といっても過言ではないのがゆゆうたである。Twitterのタイムラインで彼の動画が流れてきたことがある人も多いのではないだろうか。ニコ生主として2014年ごろから活動を本格化させたゆゆうたは「1度聴けばどんな楽曲でも弾ける」という特技を武器に、ピアノ1台で活動している。天才的なスキルを持ちながらも楽曲の方向性と、炎上を恐れないパフォーマンスから「才能をドブに捨てた男」との異名も持つ。
ゆゆうたといえば「自宅の住所をセルフ開示した男」としても有名だ。配信者にとって住所特定は最も恐れることのひとつであるが、ゆゆうたはそれを逆手に取り、自らの住所を弾き語った。2ちゃんねるで特定されたことをきっかけに、『ゆゆうた特定される』を発表し、現在でもこの住所に住んでいる。彼のTwitterではファンからの贈り物(イタズラも少なくないが)を楽しんでいる様子が度々アップされている。
配信者として長いキャリアのあるゆゆうたは、ニコニコ動画への愛を配信内で多く語っている。それはプラットフォームをYouTubeに移しても同じであり、彼の配信にはネット文化黎明期のようなどこか懐かしい雰囲気が溢れている。YouTubeではあまり見ることができないアンダーグラウンドな雰囲気は刺さる人にはとことん刺さるだろう。そういった部分でもゆゆうたは異質な存在となっている。
今年に入り、YouTubeでの活動を本格化させたゆゆうたはチャンネル登録者数も一気に20万人を超えた。これからはニコニコでの活動と並行してYouTubeにも動画を上げていくという。今最も勢いのある配信者としてYouTube、そしてニコニコ動画でも活躍に期待が高まる。