『スター・ウォーズ』シリーズはなぜ高いクオリティを維持できる? キーマンが語る制作の裏側
さて、『スター・ウォーズ』シリーズは、映画をはじめとして様々な企画が同時に進行する大事業でもあるが、次々に作られる作品の内容や整合性を、誰がどのようにチェックしているのだろうか。
ポルティーヨ氏は、成果物に対して監督とともにチェックをしていることを述べたうえで、同時にルーカスフィルムのスタッフはみんな『スター・ウォーズ』シリーズを熟知し愛していることも強調した。そこにはかつてのジョージ・ルーカスのように、創造的な部分を判断する絶対的な存在がいないという環境で、力を合わせるスタッフたちの奮闘を感じるところだ。さらに、ルーカスフィルムの現社長であるキャスリーン・ケネディや、ディズニー本社の判断も加わるという。
それは、好意的に解釈すれば、独裁から民主的に変化したシステムだといえよう。だが、監督の降板や大部分を撮り直しするようなケースが見られるように、その強権的判断はディズニーの上層部によるものと考えられ、民主的な関係の上に独裁的な存在がいると考えた方が、より実際に近いかもしれない。問題は、その判断がクリエイティブな理由から生まれているかどうかという点についてではないだろうか。
近年のマーベル・スタジオ映画シリーズの成功の裏には、ケヴィン・ファイギという、創造的な面を統括してヴィジョンを示す存在がいる。そのような役割を分担しているように見える『スター・ウォーズ』シリーズが、果たしてマーベル作品のような思い切った展開が作品内に作れるかという疑問は残る。エピソード7の記録的な興行成績によって順風満帆かに見えた、ディズニー買収後のシリーズは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の興行的な不振によって、岐路に立たされている。
ある意味逆風のなか登場するTVシリーズ『スター・ウォーズ レジスタンス』。作品自体を楽しむことはもちろんだが、映画を含めてシリーズ全体の今後を占う意味でも、その内容はチェックしておきたいところだ。
(取材・文=小野寺系)