Perfume『紅白歌合戦』パフォーマンス、テクノロジー駆使した演出を徹底解説
昨年大晦日に放送された『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合/以下、紅白)でのPerfumeのパフォーマンスが話題になっている。2曲目で披露された「エレクトロ・ワールド」では、サビに入ると3DのPerfumeとCG背景が突如映し出され、視聴者を驚愕させた。こうしたテクノロジーを用いたパフォーマンスに、何が起こっているのか理解できていない視聴者も多かったのではないだろうか。そこでPerfumeのパフォーマンスについて、映像演出に詳しい・VJyou氏に話を聞いた。
「舞台裏を見れていないのでリアルタイムか録画した素材を使ったのかは識別が難しいですが、2曲目の『エレクトロ・ワールド』は“3D reconstruction”という技法を演出に活用したのだと思います。3D reconstructionというのは、KinectやRealSenseのような深度センサーとRGBセンサーの両方がついているカメラを複数台利用して、現実空間を3D 空間に再現する技術です。『エレクトロ・ワールド』での床が見えなくなる場面などは、こうした技術を用いています。
今回のパフォーマンスは恐らく、2017年に『MUTEK.JP』(電子音楽とデジタルアートの祭典)で真鍋大度さんが使っていたシステムを進化させたものです。同イベントで真鍋さんは、リアルタイムで3Dスキャンした自分自身をVJ映像としてスクリーンに写していました。一方Perfumeの場合は、スクリーンに写すのではなく、生中継を見ている人に向けて3Dスキャン映像を活用しています。
革新的だったのは、『紅白』という生中継を売りにしている番組に使う為に、“3D空間内のカメラの画角”と“ライブ会場内の中継カメラの画角”を同期させた事です。光学式カメラで日本最高峰の権威であるNHKの生放送に3Dスキャンカメラを差し込んだのは、歴史的なトピックともいえるでしょう」