欅坂46グループ写真集『21人の未完成』の大胆なSNS施策 『乃木撮』超えの大ヒットへと繋がるか?

 欅坂46にとって初のグループ写真集『21人の未完成』(集英社)が、11月21日に発売された。今作はグループを卒業した今泉佑唯、志田愛佳、卒業を間近に控える米谷奈々未、休業中の原田葵を含めた1期生21人、最後の作品。21人のメンバーを21人の各界を代表するカメラマンが撮影し、全304ページの重量1kgにして、それぞれの個性が“欅坂46”として集結した重みのある1冊だ。

 ソロの写真集としては、これまで2017年12月に長濱ねるが『ここから』、渡辺梨加が『饒舌な眼差し』、今年6月に菅井友香が『フィアンセ』、10月に卒業生の今泉佑唯が『誰も知らない私』を発売。長濱の写真集はおよそ1年をかけ10度の重版で発行20万部を記録しているが、『21人の未完成』は発売前の時点で2度の重版、発行20万部を突破している。

欅坂46ファースト写真集『21人の未完成』 (集英社ムック)

 ここで注目したいのは、“発売前”というポイントだ。同じ坂道シリーズで乃木坂46の白石麻衣2nd写真集『パスポート』(講談社)が22度の重版にして33万部という女性ソロ写真集としては今世紀最大の売り上げ記録を誇り、次に続けと様々なメンバーの写真集が発売されている。“乃木坂特需”と言われる中、満を持して発売されたのがメンバー同士のオフショットを収めた乃木坂46写真集『乃木撮 VOL.01』(講談社)。『パスポート』は初版10万部からスタートし、1年9カ月をかけて大ヒットに繋がっていったが、『乃木撮』の場合、乃木坂46のソロ・グループを含めた写真集史上最多の初版20万部というロケットスタートとなった。その大きな要因にあるのが、「あごのせ坂」を筆頭としたメンバー同士で撮影したオフショット動画。どんどん訴求されるめまぐるしいコンテンツの数々は、そのままAmazonなどのオンラインショップでの予約に繋がっていき、現在では発行部数31万部という驚異的冊数に達している。いつしか写真集の売り上げにSNSでのPRは重要なものとなっていく。ちなみに、2013年に発売された乃木坂46のグループ1st写真集『乃木坂派』、2016年発売の2nd写真集『1時間遅れのI love you.』はアカウントすら存在していない。

 『21人の未完成』は『乃木撮』同様にグループ全員を収めた大ヒット必須の強力コンテンツ。その分、Twitterでの宣伝の仕方にも力が入ったことだろう。石森虹花をトップバッターに始まったのが「#21枚のカウントダウン」と題したメンバー全員のソロショットの公開。ここで強いのが、21日に渡り、日々違ったメンバーが登場するという点だ。これは当たり前のようであるのだが、ソロ写真集ではもちろん実現しようがなく、『乃木撮』でも全メンバーが顔を見せることはなかった。ある種、坂道グループにおいて初の試みと言える。

 発売まで2週間を切った11月9日には回答時間30秒で、21個の好きなものを答える企画「#21個に30秒チャレンジ」、さらに1週間前には自身のページを“漢字一文字”で表す企画「#漢字一文字で表すと」が並行してアップされていった。「#21個に30秒チャレンジ」のトップバッターを務めたのが、寡黙で人見知りの渡辺梨加という意表を突く人選も、ファン心理を読んだポイントの一つだろう。さらに企画は続き、発売3日前には、メンバーがあご(カメラ)をクイッと持ち上げ、目線を合わせてクールなひと言を決める「#欅坂あごクイ」がスタート。「#21枚のカウントダウン」を含め、計4つの企画が流れてくるタイムラインはかなりの情報量であるが、段階毎に企画が始まっていったこともあり、完全に脳内麻痺し切ったファンにとっては最早足りないほど。アカウントをフォローした時点で、写真集購入までのカウントダウンもスタートしていたように思う。

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