【3DS版『ルイージマンション』レビュー】立体視対応で蘇った”緑の弟”初主演作

 1983年のゲーム&ウオッチ版『マリオブラザーズ』で初登場し、以降、アクションのマリオシリーズにおいて、二人協力プレイ専用キャラクターとしての立ち位置を確立したマリオの弟「ルイージ」。その初主演作が2001年9月14日、ニンテンドーゲームキューブ本体と同時発売された『ルイージマンション』だった。厳密には海外でのみ、スーパーファミコンで発売された学習ソフト『Mario is Missing!』をカウントすれば、二作目に当たるのだが、そのことは置いておこう。

ルイージマンション TVCM

 そんなルイージ初主演作のニンテンドー3DS向けリメイク作が2018年11月8日に発売された。オリジナルの『ルイージマンション』は先述の通り、18年以上も前の作品。特にニンテンドーゲームキューブが現役を退いて以降、バーチャルコンソールなどの旧作配信サービスでの復刻は果たされずにあっただけに、半ば幻の作品と化しつつあった。そんな中、発売された今作は待望の現行機版と言える。また、今作の発売により、続編の『ルイージマンション2』も含め、同一ハード上で主演二作を遊べるようになった。

 今回のリメイク版の開発は、聖剣伝説シリーズの製作総指揮を務めた元スクウェア・エニックスの石井浩一氏が代表を務める「グレッゾ」が担当している。同社は3DSにおいて『ゼルダの伝説 時のオカリナ3D』、『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面3D』と言ったリメイク版の制作に携わった実績を持つ。今作はムジュラの仮面3Dに次ぐリメイク三作目となる。

不思議な掃除機でオバケを撃退する、ドタバタ”ホラー”アドベンチャーゲーム

 内容はオバケ屋敷を舞台に繰り広げられる、アクションアドベンチャーゲーム。

 ある日、ルイージの元に屋敷が当たったとの手紙が届いた。手紙に付いてきた地図を頼りに目的地へ向かってみると、そこには不気味な屋敷が。恐る恐る足を踏み入れてみると、そこはオバケだらけ。更にルイージに先んじて到着しているはずのマリオの姿も見えなかった。屋敷の中で知り合ったオバケ研究家を名乗る「オヤ・マー博士」に事情を話したルイージは、博士が作り上げた対オバケ用掃除機「オバキューム」と「ゲームボーイ・ホラー」を手に、屋敷の探索に乗り出す。果たして、ルイージは行方知れずのマリオを見つけることができるのか……というのが大まかなストーリーだ。

ルイージマンション 紹介映像

 ゲームは屋敷内の部屋に潜むオバケを撃退し、閉ざされた別の部屋を開放する「鍵」を手に入れ、探索範囲を広げていく形で進む。屋敷は複数のエリアから成り立っていて、各エリアの最後には「ボスオバケ」なる強力なオバケが登場し、戦闘となる。見事撃退できれば、エリアクリア。次のエリアへと繋がる扉の鍵が手に入って、新たな部屋を舞台にした探索、オバケとの戦闘が繰り広げられる。基本的にはこれらの繰り返しで展開。鍵を取る度に進行順が指定されるため、行動自由度は低めだが、その分、迷うことなくゲームを進めていける作りになっている。

 反面、オバケとの戦闘は少し癖がある。オバキュームで吸い込めばいいのだが、そのためにはオバケにライト(光)を当て、「ドッキリハート」を露出させなければならない(今作にはもう一つ、手段があるのだが、詳細は後述)。更に吸い込みに転じた後も、オバケはそこから逃げるべく必死に抵抗。こちらも吸引を続けつつ、オバケの逃げる方向とは逆に引っ張りながら抵抗することになる。「魚釣り」と「綱引き」をモチーフにした感じで、一瞬たりとも気の抜けない展開が繰り広げられるのだ。

 オバケも正面からライトを当てに行こうとすると逃げられてしまうので、背後から近付いてきた瞬間、振り向いて当てる必要がある。また、屋敷内には「絵画のオバケ」なる中ボス的存在もおり、こちらは特殊な手順を踏まないと「ドッキリハート」を露出できない。一瞬の隙を突く、周囲にある家具を利用する、はたまたクイズに回答するなど、その方法は多彩。更に「エレメントメダル」なるアイテムが手に入り、オバキュームから炎を放つなどができるようになれば、属性の相性を突く対応も求められてくる。

 いわゆる成長要素などは無く、シンプルにアクションと謎解きを楽しむことに特化した作り。同じ任天堂のアクションアドベンチャーにして看板タイトルでもある、『ゼルダの伝説』とは方向性の異なる、マリオ系列の作品らしい手触りと遊びに満ちた作品に完成されている。

手に汗握るオバケとの戦闘と繰り返し遊べる本編

 本作の魅力を一口に言えば、手に汗握るオバケとのバトルだ。

 特に中ボスに当たる「絵画のオバケ」との戦闘は、いかなる手段で相手を吸い込むかを探る謎解き、吸い込み始めた後の引っ張り合いの緩急のある展開で楽しませてくれる。このオバケと「ボスオバケ」に限り、上手く吸い込めたかどうかで評価が判定される仕掛けもあり、一度も逃げられず、ダメージも受けずに吸い込めれば、拠点でもある「オヤ・マー博士の研究所」内の「ギャラリー」に、捕まえたオバケに関連した豪華な絵画が飾られる。逆にボロボロになりつつ吸い込んだ際には、質素な絵画が飾られてしまう。

 そんな豪華な絵画が飾られるのを目指し、全神経と集中力を駆使して挑むと言ったやり込みの面白さが詰まっているのも魅力の一つ。オバケも実に20以上が存在し、いずれもマリオシリーズではあまりお目にかかれない人型のキャラクターが多数揃っているのも見所。地味に一体ごとに年齢、性格と言った設定が付けられているのも必見だ。

 繰り返しプレイに耐え得る作りも見所。後発の続編に比べるとボリュームは短めで、早ければ3~4時間以内にクリアできる。ただ、それを補填するかのように先の絵画のグレードのほか、マルチエンディング、高難易度モード、テレサの捕獲などのやり込み要素が豊富。特にエンディングはプレイヤー自身の隅から隅まで探索する根気次第で、最後の”とあるシーン”が感慨深いものになるので、極めるだけの意義がある。その分岐のトリガーが何かの詳細は伏せるが、「お金が全てを解決してくれる」とだけ触れておこう。

 他に今作はセーブポイントも豊富にあり、マップスケールが程々の広さで、部屋ごとの繋がりも分かりやすいことから、探索とゲームオーバー後のリトライも苦になりにくい。特にセーブは過剰すぎるぐらいで、毎日少しずつ進めるスタイルでも楽しめるのが嬉しい。ニンテンドー3DSへと移植されたことで、よりその魅力が強化されたのも特筆すべき部分だ。

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