「歌ってみた」シーンの新星、ウトガワが語る『歌コレ』2連覇の裏側と今後
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ラストルーキーとして参加した『歌ってみた Collection 〜2024 Autumn〜』(通称:『歌コレ2024秋』)のルーキーランキングで「バッド・ダンス・ホール」が堂々の首位を獲得ーー。前回の参加曲「白ゆき」に続いて、2連覇を達成したことになった歌い手、ウトガワ。
バンドサウンドに相性の良い清涼な声を持つ彼が、ボカコレの歌い手版とも言える“歌ってみた”最大規模の祭典で、爽快なヒットを打ち込んだ2連覇の舞台裏、そしてルーキーの枠を超えた今後の活動について教えてくれた。
「これに出るしかない!」 歌い手活動初期に出会った『歌コレ』が登竜門に
――ウトガワさんが歌い手活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
ウトガワ:昔から歌い手やニコニコ動画の文化が好きで、よく聴いていたり、カラオケで歌い手さんの真似をしたりしていました。歌い手になりたいという気持ちはずっとあったんですけど、地元の宮城では始めるきっかけがなくて。東京に転職したのを機に、いいパソコンを買ったので、何かできることはないか探していた時に、宅録で歌ってみた動画を録ってみるかと、思い立ちました。ちょうど今から2年前の社会人だった頃です。
――これまで、どんなアーティストの曲を聴いてきましたか?
ウトガワ:大学時代を中心にバンド活動をしていたので、バンドサウンドも好きですし、高校生の頃からボカロも聴いていたり、いろんなジャンルを聴いていました。ボカロを聴き始めたきっかけは、164さんですけど、ボカロでもbuzzGさんやクワガタPさんなどの、バンドサウンド寄りの曲が好きです。
――歌い手として活動する中で、『歌コレ』に参加してみようと思ったきっかけとは。
ウトガワ:歌い手を始めたばかりで何もわからなかった頃、イベントについて調べていた時があって、ニコニコ動画の歌ってみたに関する一番大きなイベントが『歌コレ』だと知りました。もともとニコニコ動画が好きで、ニコニコ超会議などのイベントも知っていたので、超歌ってみたステージなどにも興味がありました。『歌コレ』がそうしたイベントへの繋がりになることがわかったので、「これに出るしかない!」と思って、とりあえず参加してみた感じです。
――初めて、『歌コレ』に参加した時の印象深いエピソードがあれば教えてください。
ウトガワ:当時は、バンド経験しかないまま歌っていたので、最初はスタジオでディレクションを受けながら録音することが多くて、録音と確認を繰り返していました。最初の『歌コレ』参加曲「霽れを待つ」(歌コレ2023春/ルーキー3位)もその頃に録音したものなので、精一杯歌ってはいるんですけど、今ほどいろいろなことを意識できていなかったと思います。でも、あの頃の必死さは、今聴いても伝わってきますね(笑)。
――「霽れを待つ」の次の回で「ブリキノダンス」(歌コレ2023秋/ルーキー4位)を選ばれたことは曲調の面で、少し意外性を感じました。
ウトガワ:『歌コレ』では、あえてギャップを見せるのもいいかなと思ったんです。実際、告知の度に「マジ!?」みたいな反応をもらえたので。まずはギャップで興味を持ってもらって、1位を獲りたいと思いました。『歌コレ』ではみんなが知っていて、コメントしやすい、ノりやすい曲を選ぶようにはしていて。その中で、自分が輝ける曲を探した結果、最初の頃は高音に自信があったので、「霽れを待つ」にしたんです。「ブリキノダンス」も、ノりやすい曲で、かつコメントしやすい、合いの手のある曲という基準で選びました。
――ウトガワさんは2024年の『歌コレ』にも連続で参加されていますが、『歌コレ2024春』で「白ゆき」を歌って念願の優勝。さらには、『歌コレ2024秋』でラストルーキーとして「バッド・ダンス・ホール」を歌って2連覇を見事達成されました。
ウトガワ:僕は、歌い手のモリスレイさんが2022春と2022秋のルーキーランキングで2連覇していたのを見ていたんです。それもラストルーキーで1位という成績を残して。なので、僕もラストルーキーとなったら『歌コレ』で1位を獲って、ルーキー期間を締めくくりたい、という気持ちで臨みました。
――なにが優勝の決め手になったと感じていますか?
ウトガワ:前回の「白ゆき」とのギャップを狙ったのが良かったのかもしれません。「白ゆき」ではアレンジを加えて、聴かせるタイプの歌い方で1位を獲ったので、次はみんながノッてくれるような曲で1位を獲りたいと思いました。1回目の優勝よりも「バッド・ダンス・ホール」の時のほうが達成感も喜びも大きかったです。
――「白ゆき」で1位を獲得した後に再び『歌コレ』に挑戦するのは、他の歌い手さんとの競争という面で、プレッシャーを感じたりもしたのではないかと。
ウトガワ:もちろん、プレッシャーはありました。仲の良い歌い手さんたちからも「期待してます!」と言われていたので、「中途半端な作品は出せない」と思った。その分、しっかり準備をして臨んだつもりです。
――ウトガワさんは『VERSUS』などのライブイベントでの活動も積極的に行っていますよね。
ウトガワ:そうですね。カフェくんという歌い手さんがいて、彼がいろいろな歌い手さんと交流していたんです。「もしかしたらライブに呼べる人がいるかも」みたいな話をしていて。カフェくん自身も元々別のライブを主催していたんですけど、「一緒に何かできるかも」と誘われて、メンバーが集まって今のライブグループ『VERSUS』ができました。今は5人で、運営も分担しながら活動しています。