【3DS版『ルイージマンション』レビュー】立体視対応で蘇った”緑の弟”初主演作
十数年前に検討された立体視対応『ルイージマンション』の復活
また、リメイクに当たって、新たな要素も盛り込まれている。
ストロボ追加と拡張スライドパッド(Cスティック)への対応
ゲームキューブ版を踏襲したライトの「オリジナル」に加え、続編『ルイージマンション2』でオバケを驚かせる際に用いた「ストロボ」が選べるようになった。切り替えはオプション経由でいつでも可能。こちらに切り替えた場合、オバケに直接光を照射するだけでビックリさせることができる(チャージすれば更に広範囲に光を出せる)。
また、「拡張スライドパッド」とNewニンテンドー3DS専用の「Cスティック」にも対応。続編同様にジャイロセンサーによる方向調整も用意されているが、オプションで感度設定を0にすることで、完全に切れるようになった。
ボスリプレイ
「ギャラリー」に飾られた「絵画のオバケ」、「ボスオバケ」との再戦ができるようになった。この再戦を通じて、絵画のグレードを上げることもできる。また、グレードも「金銀銅」の三段階以外に……(以下、詳細は本編で)。
ローカル協力プレイ
未来のオヤ・マー博士が送り込んだ「グーイージ」なるキャラクターと屋敷を探索する、ローカル協力プレイが楽しめるようになった。この「グーイージ」は仮に体力がなくなってやられた後にも復活できるなど、ルイージ以上の性能を誇る一面がある。
amiiboとの連携
マリオシリーズのamiiboを読み込むことで、関連する特典を得られるようになる。
更に細かい面でも、ラスボス以上の強敵としてオリジナル版経験者から恐れられたボスの一体に再調整が図られたり、クリア後要素の高難易度モードが言葉通りの高難易度仕様になった改良点もある。
そして、立体視への対応。実は2002年頃、任天堂はゲームキューブ本体に装着する裸眼立体視機能を備えた液晶ディスプレイの発売を計画し、それに対応した『ルイージマンション』の制作が進められていたことが、ニンテンドー3DS本体発売当時、オリジナル版でディレクターを務めた紺野秀樹氏によって明かされた。残念ながら、商品化には至らず、お蔵入りとなってしまったとのことだが、そんな幻に消えた3D表示対応版『ルイージマンション』がこの度、十数年の時を経て実現するに至った。
≫参考リンク:社長が訊く『ニンテンドー3DS』:幻の『飛び出すルイージマンション』
これがどれほど意義深いことなのかは言うまでもなく。立体視自体の奥行きも素晴らしく、作中の特徴的なカメラワークも相まって、奥行き感のあるオバケ屋敷を堪能することができる。昨今は立体視機能を廃したNewニンテンドー2DSが先陣を切るようになり、任天堂販売のものでも立体視に対応しないゲームが出るようになったが、今作はバッチリ対応しているので、もし、3DSで遊ぶに至っては立体視をONにして、数十年前、幻に消えた『ルイージマンション』の姿を堪能してみて欲しいところだ。
良くも悪くも順当なリメイク。初めて『ルイージマンション』に触れる人にお薦め
全体的にソツなくまとまったリメイクだが、オリジナル版経験者の視点からすると、もっと欲張っても、と言いたくなる所がある。
特にボリュームは新たなオバケ、エリアの追加ぐらいはやって頂きたかった。ことに序盤の「エリア1」は非常に短く、入れる隙が十分すぎるほどにあるのに、何の追加要素もないのは寂しさすら覚える。オリジナル版の時点でもボリュームの少なさは指摘されていたからこそ、此度のリメイクでリベンジすれば、経験者にも魅力的に映る内容になっていただけに、それすらないのは勿体ない限りだ。元から、そう言ったプレイヤーを対象にしてなかったにせよ、僅かでも良いので強化を図って頂きたかった。
他にゲーム中盤より解禁される「テレサ」の捕獲。一体一体捕まえる度に博士の会話とセーブが挟まれ、進行が中断されるのは純粋にテンポが悪い。これもオリジナル版でも難点として指摘されてたもので、そのままなのが惜しい。せめて会話を丸ごと飛ばすスキップ機能でもあれば。ことに二周目以降はこれが結構なストレスになるだけに勿体ない。
とは言え、リメイクとしての出来は堅実で、再現度も上々。詳細は伏せるが、ゲーム最序盤のチュートリアル前の操作選択画面で、一定時間放置した後、”アレ”が流れるネタもちゃんと残されているほか、「ゲームボーイ・ホラー」で部屋の家具を調べた際に見れる「ルイージの独り言」もそのままだ。
オリジナル版経験者にはセールスポイントが弱い作りであるのは否めないが、続編で初めて『ルイージマンション』に触れたプレイヤーにはお薦めできる一本。オバケ大嫌いなルイージがビクビクしながら兄のマリオの為に奮闘する姿、その思いの深さがよく分かるエンディングを通じて、彼の秘めたる魅力を再確認してみよう。全てを終えた時、きっとルイージのことが今まで以上に好きになっているはず。
2019年にはNintendo Switchでシリーズ最新作の発売が予告されている。ゲームシステムを始め、詳細は現時点で明かされていないが、3DSで遊べるようになった今作と続編と一緒に、事前準備に取り組むのも一興だ。
新たなる試練に挑むルイージに幸のあらんことを。
■シェループ
新旧構わず、色んなゲームに手を伸ばしては積みゲーを増やし続ける人。コソコソとゲームライターとしても活動し始めた。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションが大好物。最近、『スプラトゥーン』のジャッジくんが気になって仕方がない。
Twitterアカウント(@shelloop)
■ルイージマンション
発売日: 2018年11月8日(木)
希望小売価格: 4,980円+税(パッケージ版/ダウンロード版)
CERO:A