今になって気づいた『ねこあつめ』の本当の優しさーー加藤よしきが感謝の気持ちを込めて

 思えば私が男であるせいか、子どもの頃から玩具一つとっても「カッコいい」か否かを基準に、好き嫌いを選んでいました。もちろん、そういったコンテンツが真剣に好きではあります。しかし一方で、「自分が他人から、どう見られるか?」を意識していたのも否定できません。「私のような人間が、可愛いものに入れ込んでいるなんて、他人に知られたらどうなるだろうか?」と言った、妙な自意識に縛られていたのです(冷静に考えれば、そんなこと誰が気にすると言うのでしょう?)。私は何かを惨殺する/されるゲームが大好きですが、それと同時に、可愛いゲームも大好きなようです。三十年以上生きてきて、こんな簡単なことに気がつくなんて、我ながら呆れてしまいます。

 仕事が少し落ち着いてきた今では、何かを惨殺する/されるゲームに復帰しています。ですが、それはそれとして、これからもずっとスマホで猫を飼っていくつもりです。やっと自分に正直になれました。何だか人生の楽しみが増えたような気もします。最後になりましたが、お礼を言わせてください。『ねこあつめ』様、本当にありがとうございます。

■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。

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