連載「バの音楽事情」
VTuberの音楽を追う「バの音楽事情」 ひなつくり、まじかるどーる、KAGAYAKI STARSら“バーチャルアイドル”の注目作
バーチャルYouTuberの音楽シーンを楽曲紹介という形で追っていく、「バの音楽事情」第2回。今回は「バーチャルアイドル」にスポットを当てた楽曲をいくつかご紹介しつつ、筆者が個人的に注目している楽曲も合わせてピックアップしていきたいと思う。
ひなつくり - 僕たちの青春ロード
岩本町芸能社が運営するバーチャルアイドル「えのぐ」の派生ユニット、「ひなつくり」によるオリジナル楽曲。「ひなつくり」は日向奈央、夏目ハル、栗原桜子の3名で構成されており、動画タイトルにもある通りこの楽曲の再生数が10万再生を越えれば「えのぐ」の正式メンバーとなるらしい(現在は仮メンバー)。
えのぐは2017年8月から活動を開始しているが、その当時は白藤環、鈴木あんずの2名による「あんたま」として活動していた。2017年末、「女優部」として日向奈央、夏目ハル、栗原桜子の3名が岩本町芸能社に加入。当初は短編映画の撮影などを活動目的としていたが、2018年2月頃に女優部があんたまと共にアイドルとして活動していく路線へ変更。仮メンバーとして「あんたま」に合流し、5人でのユニット名は「えのぐ」に決定した。そして前述した通り、正式加入するための条件として「僕たちの青春ロード」10万再生を目標として掲げている。
えのぐはほぼ毎月ライブを行なっており、次のライブは10月20日。VRライブやライブビューイングのチケット申し込みはもう締め切られているが、YouTubeでの生放送もあるので、バーチャルアイドル5人による圧巻のライブを是非視聴してみてほしい。
まじかるどーる - るるるのまじかる♪
雅まつり、雅雪巴、雅さくら、雅紅羽、雅市華の5人姉妹によるオリジナルソング。まじかるどーるはとある町の、とある片隅にある、なんだか不思議な古道具屋さんで売られているバーチャルフィギュアである。なお一体198,000円らしい。活動開始当初は雅まつり、雅雪巴の2名による活動だったが、少しずつメンバーが増え現在は5名で活動している。2018年7月にYouTuber事務所「UUUM」に加入したことで話題を呼んでいた。
楽曲は古き良き電波アイドルソングといった感じで、勢いのあるノリやすい構成。ライブで絶対聴きたいやつ。歌詞には「まじかるどーる」のファンならわかる小ネタが大量に詰め込まれており、前述した「一体198,000円」もそのまま歌詞になっている。
KAGAYAKI STARS - KAGAYAKI STARS!!
以前リアルサウンド テックでも紹介したバーチャルアイドルグループ、「KAGAYAKI STARS」のオリジナル楽曲。歌唱は綺羅星ウタ、鞍馬つむぎ、琴みゆり、宇佐美ユノ、射貫まとい、雷輝アンタレス、早乙女ぽえむの7名。
なおこの7名はKAGAYAKI STARS発足当時の初期メンバーである。作編曲はアニメ『傷物語』や『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』などで知られる難波研氏、作詞は『アイカツ!』などで知られる辻純更氏が担当。リアルアイドルよりはIDOL M@STERやTokyo 7th シスターズといったアニメ系アイドルに近い曲調になっている。現状KAGAYAKI STARSは全員がLive2Dでの活動ということもあり、MVはメンバーの立ち絵をエフェクトと共に動かしたものになっているので、いつか3D化と共にこの楽曲を踊った新たなMVが出ることを祈るばかりだ。
Hop Step Sing! - 覗かないでNAKEDハート
虹川仁衣菜、箕輪みかさ、椎柴識理、の3名によるバーチャルアイドルユニット「Hop Step Sing!」のVRミュージックビデオ第四弾。彼女達の活動開始は1年以上前で、バーチャルアイドル界隈ではかなり古株。
「500年愛されるアイドルを誕生させる」というビジョンのもとに、講談社VRラボによって制作されている。YouTubeでは360°動画だが(この時点ですごい)、Steamで有料配信されているVRMVでは実際にヘッドマウントディスプレイを被って視聴することができる。またVRMV内ではコントローラーを使ってMVに変化を起こすことのできるギミックが盛り込まれており、Hop Step Sing!ほど「バーチャルアイドル」を体現しているグループはそういないだろう。
筆者も彼女達のVRMVを体験したことがあるが、新しいアイドルの形をこれでもかと見せつけられた。VRMVの第四弾である「覗かないでNAKEDハート」は、数多くのアニメソングを手がける音楽制作レーベル「Arte Refact」が作編曲を担当。楽曲全体のクオリティも素晴らしいが、特にサビのメロディは筆者も久方ぶりに鳥肌が立った。