モデラーたちの夢が叶う? 自動車作り体験VRゲーム『Wrench』に漂う希望

 その昔、タミヤの田宮俊作会長は、1/12 ポルシェ934ターボのプラモデルを設計する際に同型の車であるポルシェ911を購入し、自宅のガレージで企画開発部のスタッフと一緒にバラバラに分解して細部に至るまで取材したという。1997年に出版された『田宮模型の仕事』に掲載されていたこのエピソードは「そこまでやるの!?」とモデラーの度肝を抜いたと同時に、「さすがはタミヤですわ……」と改めてリスペクトの気持ちを呼び起こすに十分であった。

 スケールモデルを作る以上、実物がどういう構造なのか一応知っておきたい。実際に細かいところまで再現するかとは別に(まあ、腕前とかそういう問題があるので……)、どこに何がどういう仕組みで収まっているかが気になる。そんな気持ちを抱えているモデラー諸氏は多いと思う。しかし、なんせ自分はタミヤに勤務してるわけではないし、実際に911を買ってくるような豪快さも資金もない……。そんなボンヤリしたモデラーでも「VR俊作会長」な体験ができそうなソフトが配信されるという。

 それがMissing DigitによってSteamにて今秋配信予定のVRシミュレーションゲーム『Wrench』だ。VRゲームとしてHTC ViveとOculus Riftに対応。また、VR未対応のPCやキーボードにも対応する予定だという。ユーザーはカーショップを運営しているという設定で、様々なパーツを組み合わせて車の部品を組み立てていくパズルシミュレーションゲームである。どうやら内容的には「ガチで仕事っぽいことを体験する」という点に重きが置かれている様子。カスタマーと信頼関係を築き、運転の特性に基づいて仕様を変更し、新しく整備士を雇う……という、かなりお仕事感のある内容が予定されている。

 現在公開されているトレイラーでは、作業机の上に並べられた部品を組み合わせ、エンジンを組み立ててスポーツカーの車体に収めるまでが収録されている。グッとくるのは、エンジンの外殻をスポンとくり抜いてカットモデルのように内部構造を見られるシーンがあることだ。ピストンがガチャガチャ動いてクランクシャフトが回る……というのを一発で理解できる。これ! こういうのがやりたかったんですよ!

WRENCH VR – Early Access Announcement Trailer【HTC Vive, Oculus Rift】Missing Digit

 というのも、基本的にモデラーには「機械の中身がどう動いているのか」というのに案外無頓着だったり、ちゃんとした知識がない人が多い。もちろんそうじゃない人もたくさんいるが、少なくともおれはそうである。なんとなく「あの部品がああやって動いて、そんで車が走るんだろうな~」という程度のボンヤリしたイメージはあるが、具体的にどういう素材でできた部品がどうなって車やバイクや飛行機や戦車や船が動いているのか……ということになると正確なところは見当もつかない。本物のエンジンには「プッシュロッド」や「プラグコード」みたいな部品があって、そういう部分はキットでは省略されていることも多いから、自分で作ってくっつけるといい……ということは多少わかるけど、それがどういう役割の部品なのかはボンヤリとしか理解できてない。

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