膨大なミッションと食欲減退効果で痩せる! 『フォールアウト4』ダイエットのススメ
私事で恐縮なのだが、最近ダイエットをしている。元がめちゃくちゃに重かったのでまだ焼け石に水といった感じではあるが、一カ月弱で13Kgほど体重は落ちた。毎晩飲んでいた酒も家にいるときは飲まず、運動し、淡々と生活をしている。久しぶりにあった知り合いからは「なんか痩せた?」と言われることも多くなった。やはり10Kg以上体重が減ると見た目からもわかるものらしい。
そんな減量において、最大の効果を発揮しているのがプレイステーション4、そして『フォールアウト4』である。3年も前に発売されたゲームをなぜ今……と感じるかもしれないが、おれが思うにこのゲームは快楽に弱いデブが痩せるために必要不可欠である。もしあなたが痩せたいと思っているならば、効果なダイエット食品や特別な器具は必要ない。ジムと契約し、そして今すぐプレイステーション4を買ってこればいいのだ。
なぜ『フォールアウト4』なのかという話の前に、おれがなぜブクブクと太ったのかという点を整理しておく必要がある。なぜ太ったか。それは意志が弱く、精神的にだらしないからである。議論の余地はない。意志が強く、節制の習慣がある人間ならば、めちゃくちゃな体重(めちゃくちゃすぎて知人友人がドン引きする可能性があるので具体的な数値を出すのは控えたい)になるまえに「これはまずい」と対策を講じたはずである。
フォールアウトダイエットは、この意志の弱さを逆手に取ったダイエット法だ。やり方は簡単。食事の内容を見直し、三食の量を減らし、ジムに行って運動をする。そして、それらダイエットにつぎ込んだ時間と仕事をしている時間以外は、常に『フォールアウト4』をプレイし続ける。これだけである。
なぜ「意志の弱さ」がキーになるのか。そもそも、食事と飲酒の快楽というのはとても抗いがたい。特にハイカロリーな食事はなおさらだ。「カロリーが高かったり甘かったりするものをうまいと感じ、必死で摂取しようとする」という機能が備わっていなかったら、氷河期あたりでとっくに人類は絶滅したであろう。つまり、おれは氷河期以来人類を生存させてきた機能と戦わなくてはならない。生半可なことではない。
しかし、何もない状態で食事を我慢しようとしても無理である。なぜなら意志が弱いからだ。手元に食い物があれば、あっただけ食う。しかし減量中は食えない。普通のダイエットはここで意志が折れるので、「食いたいものも食えん人生に意味なんぞないわ~!!」と一人しかいない部屋で叫び声をあげ、牛馬のごとく一升飯を食ってしまう。それを解決するにはどうするか。より強い、そしてカロリーを摂取しないタイプの快楽を用意することで、食事から目をそらすのである。「寝食を忘れる」という言い回しがあるが、快楽に弱いデブは一時的ではあれ食べることを本当に忘れる必要があるのだ。
前置きが長くなったが、『フォールアウト4』はこのダイエット方法にうってつけのゲームである。まず単純にやることが多い。「核戦争から200年経過した世界で、強奪された息子を取り戻す」というメインクエストに加え、あちこちにいるキャラクターたちから依頼される膨大な量のサブクエストもあり、オープンワールドでのお使いをこなすだけでもめちゃくちゃ時間がかかる。さらにクラフト要素もあるので、材料を集めてきて自分の住む拠点を強化するだけでもどんどん時間が過ぎていく。
そもそも舞台であるウェイストランドを歩いて回るだけでも時間がかかる。見つけていないロケーションを発見すれば経験値が手に入るし、トボトボ歩いているとレイダーやらでかい虫やらスーパーミュータントやらが襲いかかってくるので、それらの敵をガンガン射殺しなくてはならない。文明が崩壊したウェイストランドの風景はとにかく美しく、朝焼けは燃えるようだし夜になれば満点の星空が楽しめる。崩落したハイウェイの上に立ってぼーっと景色を眺めているだけでも間がもつ。
特にミニッツメンルートで攻略した時に顕著だが、育成ゲーム的な側面もある。連邦各地にある拠点に入植者を住まわせ、それらの拠点に水源と寝床を用意し、畑や防備を作って入植者を生活させていかなくてはならない。あまりにも自分たちで何もしようとしない入植者にブチ切れそうになることもあるが、そういうゲームだから仕方ない。なにより、拠点同士を物流網でつないだ時の「おれの配下が連邦中を歩き回っている」という満足感が強いので、入植者集めもやめられない。この入植地運営もやっぱりやることが膨大にあり、一度手をつけるとストップするのが難しい。
この、とにかく「やることが膨大にあり、全てをこなしていこうとするとものすごく時間を食う」という点が重要だ。ゲームとして楽しいのはもちろん第一条件だが、すぐ飽きてしまうのではダイエットには向かない。なんせ食事の量を減らしているので、今まで30分かけて食べていた夕食が、たった5分で終わってしまうのである。デブに暇を与えてはいけない。暇だと「ちょっとコンビニでもいくか」となり、気がついたら発泡酒を片手にファミチキをかじっていたりするからである。その点フォールアウトは一回やり始めると「あのクエストを進めよう、でもその前にこの拠点にベッドを足しておこう。あれ、あのロケーションはなんだろう、初めて見たぞ……」と無限にやることが湧いてきて、気がついたら午前2時、いけねえさすがにもう寝ないと、という感じになるのである。
しかもフォールアウトのプレイはゼロカロリーで楽しめる。ずっと座ってコントローラーを握っているだけなので何も運動にはならないが、運動などというものはジムで金を払ってやればいいのである。どうせおれは自腹を切らないと運動なんかする気にならないのだ。とにかく空いた時間を作らず、中毒性の高い遊びをやり続けて食事のことを忘れる。『フォールアウト4』はそのためにうってつけのゲームなのだ。