“あの人のゲームヒストリー”第六回:石塚朱莉(NMB48)
NMB48 石塚朱莉が語る『ドラクエ』への熱烈な愛情 “異色のゲーム実況”はどこへ向かう?
ゲーム好きの著名人・文化人にインタビューし、ゲーム遍歴や現在の活動とゲームの関連性などを聞く連載“あの人のゲームヒストリー”。第六回は『NMB48 石塚朱莉 10時間 ドラゴンクエスト実況〜YNN裏放送〜』が人気を集め、昨年9月にはゲーム実況用のYouTubeチャンネルを開設、リアクションや素朴なプレイが好評なNMB48の石塚朱莉に登場してもらった。
今回は彼女のYouTubeチャンネルが1周年を迎えたことを機に、あらためて『ドラクエ』実況のなりたちや、そのルーツ、他にプレイしてきたゲームの話などについて、じっくりと話を聞いた。【記事の最後にサイン入りチェキのプレゼント企画あり】
「私も大人になったら絶対夜更かししてドラクエをやるんだ!」
――石塚さんの『ドラクエ実況』を毎回、面白く見させてもらっています。そもそもこの企画を始めたきっかけは?
石塚:最初は、私が知らないところで告知されてたんです。朝起きてTwitterを見たら、「YNN(動画配信サイト)」のホームページに書いてあって(笑)。その時はゲーム実況自体がどういうものなのかもわからなかったですし、12時間生配信をするというのも未知の領域でした。
――それ以前はどれくらいゲームをプレイする人だったのか気になります。人生で一番初めにハマったゲームはなんでしたか?
石塚:やっぱり『ドラゴンクエスト』シリーズですね。初めは幼稚園くらいのとき、父がやっている『ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君』を横から見ていて、自分もやりたいな、と思っていたんです。当時は「壊れるから、ゲーム機は触っちゃダメ」と言われていたので、自分でやることはなかったんですけど、両親どちらも『ドラクエ』が好きなので、2人がずっと夜中にこっそりプレイしているのを見て、「私も大人になったら絶対夜更かししてドラクエをやるんだ!」って思ってました。
――当時の石塚さんにとって、『ドラクエ』は大人の特権だったんですね。
石塚:そうなんですよ。お菓子とかおつまみを食べながらプレイしている姿がすごく羨ましくて(笑)。その後、『ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人』が発売されたときはニンテンドーDSを持っていたので、初めて自分の『ドラクエ』を手に入れました。それまでは『マリオカート』や『マリオパーティ』『どうぶつの森』のようなファミリー向けのゲームばかりをやっていたんですが、『ドラゴンクエストⅨ』を手に入れてからは、ガチでゲームをやり込むようになりました。弟とお母さんと一緒に、秋葉原にある「ルイーダの酒場」へすれ違い通信をしに行ったり。
――ちなみに、『ドラクエ』シリーズで一番ハマったタイトルは?
石塚:一番好きなのは『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』です。親から子へ、そこからまた次の世代へ、という家族の温かさもあり、残酷さもあるような描写に、すごく涙したのを覚えています。
――人生の分岐点を選択する瞬間もあって、勉強になる作品ですよね。
石塚:そうなんです! これから生きる上で「私はどういう人と結婚したらいいか」というのを、このゲームから学んだ気がします(笑)。
――(笑)。ちなみに幼馴染のビアンカと、主人公を助ける富豪の令嬢・フローラでは、どちら派ですか?
石塚:断然、ビアンカです。「フローラを選ぶ人はちょっとどうなん? 一回話聞かせてくれへん?」という気持ちです(笑)。何周もしてますし、今回はフローラでいこうって決めていても、やっぱりビアンカを選んでしまうんですよね。進めてたらどんどん情が湧いてきて。
ーーそうやってフローラ派に詰め寄るくらい(笑)、ゲームにハマってたんですね。
石塚:学校の友だちとも喋れるし、家族とも一緒にできるのがすごく楽しかったですし、今は楽しみ方もさらに広がっているので、ゲームは本当に大好きなんです。ただ、それってNMB48の活動というよりは趣味の一環で、お仕事になることって今まで全くなかったんです。だから、趣味が仕事になるのかと驚きました。
――しかも、その実況タイトルが『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』という、石塚さんがプレイしてこなかった初期の作品だったわけですが、スタッフさんも石塚さんの『ドラクエ』好きは知っていたんですか?
石塚:一回「『ドラゴンクエスト』は学校教材にしたほうがいい」ってツイートしたのを、スタッフさんが拾ってくれたみたいです。
――あれは衝撃の配信でした。
石塚:結果的に約14万人の方が来場してくださって、コメント数も14万に届くくらい、たくさんいただいて。12時間50分の間、視聴者の方と私と、来てくれた何人かのメンバーと、本当に冒険をしたという感覚になりました。
――時間が経つにつれて、NMB48ファン以外の視聴者がどんどん増えていく、という変化も面白かったです。
石塚:最初はやっぱり自分たちのファンの方しかいなくて、「あんちゅ頑張れ」「可愛いよ」みたいなコメントをしてくれてたんですけど、夕方ぐらいから『ドラクエ』歴30年くらいのガチの方が入ってきてくれて、お叱りのお言葉やアドバイスをいただいたり(笑)。私自身も、ゲームファンと接するのが初めての経験だったので、すごく新鮮で楽しかったです。この配信で初めて「ゲーム実況」というものを知りましたし。
――12時間配信をやってから「私のやってたことは『ゲーム実況』やったんか!」というのを知ったんですね……(笑)。
石塚:そうなんです(笑)。だから12時間配信のときは何も手本にせず、ひたすら手探りやったんですよ……。
ーーだからこそ、異色のスタイルが生まれたのかと納得しました。
石塚:やっぱり異色なんですかね……? ゲームが上手い人や、おしゃべりが上手い人がゲーム実況者、というイメージがあるので、私はゲームも下手くそやし、手際悪いし、大丈夫なのか……? っていつも思ってます。
――「リアクション」という最大の武器があるじゃないですか。
石塚:そうなんですかね(笑)。視聴者の方と自分とで、一緒に冒険している気分になるというのも、私の強みなのかなって思っています。
――なるほど。12時間配信からYouTubeチャンネル開設まで1年ほど期間が空いていましたが、その理由は?
石塚:元々、ゲームは仕事として一切やらないんじゃないかと思っていたので、スタッフさんに「YouTubeで実況者としてやってみないか」と言われたんですけど、結構悩みました。でも、YouTuberって今やスーパーヒーローですし、ゲーム実況も実際にやってみてすごく楽しかったので、とりあえずやってみようということで、チャンネルを開設しました。