フィッシャーズ、熱狂の1stアルバム記念ライブレポート リスナーに伝えた強い“肯定感”
YouTubeを中心に活動する、7人組の人気クリエイター集団=フィッシャーズが8月15日、同日にリリースされた1stアルバム『僕らの色 みんなの色』の発売記念ライブを行なった。会場となったラゾーナ川崎プラザ・ルーファ広場には、3000人のファンが詰めかけた。チャンネル登録者数500万人を突破し、2年連続で8月の動画再生数が3億回を超えたフィッシャーズが、新たな一歩を踏み出したと言える、記念すべきライブ。10月1日にはフジテレビ系『HEY! HEY! NEO!』に出演し、地上波でパフォーマンスを披露する彼らのステージを、あらためて振り返ろう。
ステージに立ったのは、フィッシャーズの音楽活動を主導するンダホ、ぺけたんをはじめ、シルクロード、モトキ、マサイの5人。大歓声に迎えられた彼らが最初に披露したのは、フィッシャーズというグループそのものを表した人気曲「虹」だ。
事前のインタビューでマサイも語っていたが、安定したハイトーンボイスを響かせるぺけたんはもちろん、ンダホのパフォーマンスの進化に驚かされる。艶が増し、柔らかくも通る声ーー今年4月、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演した際には、視聴者から厳しい声もあった。それを正面から受け止めながら、「それだけ、努力で成長する伸び代があるということ」と前向きに音楽と向き合ってきた成果が、十分に表れていた。続けて歌われた、アルバム収録の新曲「ガンバレルヤ!」の<間違った分だけ 伸びる力になるって 思えば上出来>というフレーズが、説得力を持って響く。
さらに、ぺけたんのソロ曲「おいていったもの」が披露される。長く日々をともにしたパートナーを失った虚無感を叙情的に表現した楽曲で、美しいファルセットと、感情を絞り出すような歌唱が印象的だ。
そして、アルバムの目玉の一つとも言える、湘南乃風・SHOCK EYEの提供による「ナナイロの糸」のパフォーマンスへ。シルクは「まさかSHOCK EYEさんが僕らに曲を書いてくれるなんて思っていなかった。でも、僕らが頼んだんじゃなくて、もう曲を書いてくれていたんですよ」と語り、ンダホが「お子さんが、僕らの動画を観ていてくれたみたいで」と明かしていたが、まさに、フィッシャーズの歴史や、彼らの絆をよく知らなければ書けない楽曲だ。切ないラブソングとも捉えられるが、ンダホが優しく歌う<共にいれば さえなかった日々のすべてが カラフルに染まり><ずっとそばで 笑っていてほしいんだ>などのフレーズは、メンバーそれぞれに向けられているようにも思える。
曲間のMCでは、普段通りの楽しいトークで笑いも多く生まれた。ただ、ンダホとぺけたんはーー他のイベントでも音楽にかかわるときはそうであるように、常に真剣で、プレッシャーを背負っているように見えた。それだけに、時に拳を上げ、声を合わせて二人を支えながら、360度、ステージを取り囲むように集まった観客たちに広く目を配り、安心して歌えるステージを作り上げているシルク、モトキ、マサイのパフォーマンスも、同様に胸に迫る。その後ろには、今回のイベントには参加していないダーマ、ザカオの姿も見えてくるのだ。インタビューでぺけたんが語ったように、きっとメンバーの誰が欠けても、このステージは成立しないのだろう、と。