月ノ美兎「Moon!!」をkzがリミックスして話題に! にじさんじと創作の関係を紐解く
にじさんじイメージソングの潮流
話を「Moon!!」に戻す。にじさんじは2018年2月8日に1期生がデビュー。月ノ美兎の話題性も手伝って、あれよあれよという間にグループとしての地位を確立していった。
そして、上述のようにさまざまなファンアート(イラストだけでなく、動画なども)制作されていた中、2018年3月、iruによって「Moon!!」がニコニコ動画に投稿された。
〈号令をかけたら 生放送開始です/最後まで着席はおあずけ 今日も中腰で 洗濯機の上から/皆さん笑顔にします〉という歌い出しからはじまる本楽曲だが、清楚な学級委員という設定、そして生配信から発覚した奇天烈なエピソードやがふんだんに盛り込まれており、さらに、バーチャルアイドルを目指している、という彼女を活かす『THE IDOLM@STER』を彷彿とさせるようなメロディでまとめあげられている。まさに名刺代わりのキャラクターソングとして申し分ないものだった。
この「Moon!!」をきっかけに、「にじさんじオリジナルソングリンク」タグがうまれ、後に数多く生まれた「にじさんじイメージソング」の潮流が生まれた。
「Moon!」はその後、月ノ企画によるラジオ風生放送企画「みとらじ」のオープニングに本人歌唱で起用。また、8月に実施された「月ノ美兎の夏休み〜課外授業編〜」ではフルバージョンで披露。名実ともに、月ノの代名詞として成長している。
にじさんじの楽曲はファンと本人たちとのコミュニケーション手段であり、リミックスなどで新たなファンまで届くことによってグループ全体を拡張させることのできるツールでもある。そこにかつてのニコニコ動画における”歌ってみた”との差を見ることができる。
初音ミクをはじめとする”ボーカロイド”による楽曲は、好かれ悪かれその時点で「初音ミクが歌っている」というタグがついてしまう。そのため、曲としての完成度がいくら高かろうと、人が”歌ってみた”方が聞きやすい、”歌ってみた”の人気が出るということは往々にして存在した。
それは初音ミクたちが乗り越えられなかった壁とも考えられるだろう。しかし、月ノ美兎のようなキャラクターがいれば、歌ってもらうことが一つのゴールとして考えることができる。バーチャルな存在ながら”生きている“彼女たちだからできることだ。
■渋谷住所/ライター
バーチャルYouTuberが好きな無職。にじさんじでは静凛センパイの『DARK SOULS』実況が好きです。