バリュー価格に気の利いた視点! 家電量販店エディオンの PBブランド「e angle」が売れているワケ(前編)

エディオンのオリジナル家電は何故人気?

 現在、全国約1200店舗を展開している家電量販店・エディオン。2018年から始動しているPBブランド「e angle(イー・アングル)」が好調だ。シリーズのうち、「select」とニトリとの共同開発商品をのぞき、2024年度の販売台数は2023年度比で約3.7倍へと拡大。ほぼ毎月1アイテムを新規リリースし2026年1月現在で、キッチン家電などを中心に67アイテムと数も豊富だ。そもそも流通屋である彼らがなぜ、オリジナル家電をリリースしているのか。その製品開発の思想とは? エディオンの商品開発担当者に話を聞いた。

ユーザー目線でくらしを新しい角度から提案する”いい”アングル

「私ども家電量販店は小売業であり、お客さまに近いがゆえに商品に対するご意見だったり、いろいろな声を拾えるという特性があります。当然、いろいろなメーカーの商品を扱っているので、お客さまのナマの声を聞いて各々のメーカーにフィードバックし、より市場にマッチした商品を販売していく。これが通常の家電量販店のあり方だと思います。その結果、どの家電量販店でも同じ商品が買えるので正直、差別化がむずかしい。さらに、メーカーにフィードバックをしてもすぐに製品化されないこともあります。そこで、お客さまのニーズにあった商品をスピード感を持ってお届けしたい。そんな思いが『e angle』の根底にはあります」とはエディオン・グローバル商品企画部の木村健吾さん。

 「e angle」が当初から大事にしているコンセプトが「くらしを、新しい角度から。」という視点だ。

「エディオンには全国各地にスタッフがいるので、メーカーではわかりえないようなお客さまのリアルな声を大切にしています。毎月スタッフにアンケートを行っており、月1000件ほどの商品リクエストが届くのですが、そこから厳選し、さらに絞り込んでいき、新しいモノづくりを行っています」

 店舗の販売スタッフを経て、2021年から「e angle」の商品開発を担当している木村さんが大ヒット作と自負するのが、2023年に発売を開始した洗剤自動投入機能付きの「食器洗い乾燥機」(価格79,800円)だ。

「発売当時、食洗機の洗剤自動投入機能は国内初でした。これは小売業ならでは強みだと思いますが、着想は洗濯機です。洗剤自動投入機能は洗濯機では10年ほど前から付いており、お客さまからの反応を見ても『もう手放せない』と大好評の機能。その一方で食洗機を使うたびにイチイチ洗剤を投入することに手間を感じているお客さまも多くいらしたので、これは『くらしを、新しい角度から』ご提案できると考えました」

 ただ、簡単に付帯できる機能であればとっくに付いていたはず。

「課題は食洗機の筐体サイズが決まっていることですね。設置スペース的な問題です。比較的小型の食洗機が出てきているなかで、このサイズのなかにどう、洗剤自動投入機能を組み込むかを徹底的に検証していきました。個人的には開発に2年費やした思い入れの深い商品でもありますね。検討検証の結果、フロント下部のデッドスペースに洗剤自動投入機能を収めることで決着しました」

 一方で、デザイン面で新しい角度を提案しているのが、キッチン家電や暖房機で展開している「カラーデザインシリーズ」だ。ティール、ピンクベージュ、モカホワイトといずれもやわらかく味のある”くすみカラー”で仕上げた”ビジュ家電”で、主にひとり暮らしをしているZ世代をターゲットにしている。

「家電のカラーバリエーションについても、お客さまからのニーズが多かったものを採用しています。カラーに”くすみカラー”を採り入れてトレンド感を演出。以前のエディオンでは若い方がキッチン家電を買いづらいという傾向があったようで、では若い方はどこでキッチン家電を買っているのかというと、インテリアショップでした。例えば、タンブラーミキサー(価格4,680円)やオーブントースター(価格5,480円)、グリル鍋(価格5,480円)など素材が違うモノも同じ色で統一していますが、実はくすみカラーをムラなく出すのはなかなかむずかしいことで……。もともと若い世代向けで抑えめの価格帯で企画したシリーズですが、色合わせなども含めて徹底的にこだわった商品でもあります」

ニトリとの共同開発による最新ノンオイルフライヤーも大人気!

 昨年末に発売したニトリとの共同開発で生まれた「中が見えて調理しやすいノンオイルフライヤー」(価格5,980円)の売れ行きも好調だ。

「エディオンは2022年からニトリと資本業務提携を行っており、事業としてお互いのリソースを高めていこうという動きのなかで生まれたのがニトリ共同開発商品。2023年から展開が拡大しています。『中が見えて調理しやすいノンオイルフライヤー』のポイントはズバリ、コンパクトさ。ひとり暮らしで使われることが多いアイテムですので、PB家電を展開しているニトリさんとも親和性の高い商品だといえますね。既存の商品がいずれも調理中の中が見えない構造なので今回、共同開発商品としては外観に耐熱ガラスを採用したノンオイルフライヤーにすることで、中が見える楽しさをカタチにしました。実際、お客さまからもお肉を焼いたり、唐揚げをつくるときに調理やシズル感が見えるのが楽しいとご好評をいただいています」

 共同開発製品に関してはニトリの開発部と徹底的なすり合わせが行われる。

「目指すべきところはシナジー効果。単に”がっちゃんこ”するのではなく、両社の強みを活かした製品開発に注力するということです。ニトリはデザイン、インテリア、トータルコーディネートの部分に強みがあり、エディオンとしては家電量販店ならではのこんな機能がほしいという両者の知見をかけあわせて商品を開発。今後も共同開発商品を増やしていこうという動きになっています」

 「e angle」としても今後は大型家電などにも挑戦していきたいというが、2月末に発売された「ドラム式洗濯乾燥機」(10kg・価格109,800円)は販売開始前からすでに予約が殺到するなど話題の商品になっている。

 気づきのある機能やデザインを付与した上にバリュー価格で提供していることでも人気の「e angle」。各商品の品質に関しては、エディオンが独自に設けている商品性能テスト研究所なる部署が大きな役割を担っている。簡単にいえば商品の使用が想定される環境下で、取説通りに各々の機能がきちんと作動するかを入念にテスト。エディオンの店頭に並んでいる「e angle」の商品はいずれも、このエディオン商品性能テスト研究所での厳しい品質テストをクリアしたアイテムたちだ。

「調理家電からスタートし、マウス、USBメモリ、ポータブルスピーカー、ヘッドフォンなどのガジェット、今後はエアコンやテレビの分野にもチャレンジしていきたいですね。ただ、『e angle』として大切にしているのは、いかにお客さまが生活のなかに取り込みやすい製品であるかどうか。製品開発の背景にはお客さまのナマの声があります。今月発売したばかりの『ウルトラファインバブルフロッサー 口腔洗浄器』(価格12,800円)もそのひとつ。歯の健康に対して意識が高まっているなかで、だけれども定期的に歯科に行くのはむずかしい。そんなニーズに対して、ものすごく小さく細かな気泡であるウルトラファインバブルを搭載し、歯や歯間の汚れなどを徹底的に洗い流してしまおうというものです。今後もお客さまの声を反映した、”いいアングル”な商品を開発し続けていきたいですね」

 また、後編として兵庫・尼崎にあるエディオンの商品性能テスト研究所に潜入取材を敢行。同研究所で行われている具体的なテストの内容と、「e angle」商品開発担当者と商品性能テスト担当者のギリギリのせめぎあいをレポートしたい。

◯参考情報
https://www.edion.com/eangle

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