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VTuber・輝夜月のVRライブは「ライブ」ではなかった? “再現性”の視点から公演を振り返る

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 VRライブは”ライブ”ではなかった。バーチャルYouTuber(VTuber)輝夜月によって行われた世界初(とうたわれた)の公演の感想はまずこれだった。理由はいくつかあるが、最も大きいのは“再現性を肯定”したことにある。くだけて言えば、それが映像だったからだ。

 ただ、これはVRライブ、ひいては輝夜月の公演を否定するものではない。むしろ“だからこそ良かった”と声を大にして言えるからこそ、この原稿を書いた。本稿では、VTuberのかかえる病と、乗り越えるべき壁について記したい。

バーチャルYouTuberとは

 キャラクターを外見にまとって動画を投稿/配信するVTuber。すでにTVや雑誌などでも取り扱われているためここでその沿革に説明は省くが、既存のキャラクターIPと最も差別化して語られるのは、身体との同期だ。

 Kigurumi Live Animator 「KiLA」や、Viveなどを利用したトラッキングシステムに由来する身体とキャラクターの結合が、バーチャルYouTuberとしての真正性を生み出している。要は喋って、動く人間の動きをトレースしてキャラクターが再現できるのだから、キャラクターをきぐるみのように着こなすことができる、というわけだ。

 ここにVRだから優れている、というような意思は介在しない。消費者の目にはキャラクターが人間のようにうつる、という点のみが重要だ。きぐるみなのだから、中の人がいて当然というように。

どんなライブだったか

 輝夜月の公演に話を戻す。ちなみに筆者はライブビューイングの体験者だ。そのためcluster.(最近末尾の.が取れてclusterになったらしい)での体験者とは異なる意見となるかもしれない。ただ、cluster/ライブビューイングいずれも内容については同じと確認しているので、本稿での議題については筋違いではないはずだ。

 結論からいえば、映像作品だった。無粋なことは自覚しているが、明らかに「いつもの月ちゃん」とは違った。例えば直前に行われていた岩本町芸能社「えのぐ」による公演。そこではVR内に建てられた劇場の中で5人のアイドルたちが歌って踊った。例えばMonsterZ MATEが渋谷タワーレコードで行った公演。2人のメンバーが、まるでステージ上に立っているかのように透明スクリーンに映し出された。この2つのライブには共通点がある。

 それは全身をトラッキングしていたことだ。上述の通り、トラッキングをすることで既存のキャラクターと差別化を図ってきたVTuberとしては正しい選択肢といえる。キャラクターをきぐるみとしてまとい、歌い、踊ることがVTuberをVTuberたらしめる方法だからだ。決してそれらを否定する意図はない。いずれも感動を覚えた。ただ、やや不器用ではあった。

 しかし、輝夜月は違った。“VTuberらしさ=トラッキング”をライブの場で切り捨てたのだ。冒頭で”映像”だったと述べた理由はここにある。公式から明言はされていないものの、見ればわかるというほどに”普段の動き”ではない。明らかに手付によるものだ。それに合わせて歌も音源が使用されている。

 だが、それによって洗練された“アニメ的”な表現を実現し、ライブとしての満足度をあげていたように感じる。ここでいう“アニメ的”とは、非現実さだ。怒るときに『プリキュア』のようにもー! と両腕を下に突き出す女なんていない。同じように『ラブライブ!』で行われたダンスの細部の機微は、3Dと手描きアニメーショの融合によって絵の魅力を最大限に引き出したものだ。

 ここで言いたいのは、VTuberらしさとして語られている人間の動きとの融合は、「アニメ的リアリズム」を失っているということだ。人間らしさ、きぐるみ感を優先することで”キャラクター”としてのケレン味を喪失してしまうと感じることはままある。

 話を戻すが、輝夜月のライブは、表情やダンスはもちろん、指の先まで行き届いた機微、カメラワークに至るまで、映像作品として見れる強度を保っていた。さながら『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』のMVのようだったといえば伝わるだろうか。映像コンテンツとして、それほど優れていたという意味として受け取ってほしい。

「デレステ」クレイジークレイジー (Game ver.) 一ノ瀬志希、宮本フレデリカ SSR (Crazy Crazy)

      

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