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『ドラガリアロスト』

任天堂×Cygamesの『ドラガリアロスト』主題歌はどのように生まれた? DAOKO×小林武史対談

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 任天堂とCygamesによるスマートデバイス向けのアクションRPG『ドラガリアロスト』が9月27日、ついにリリースされる。同アプリはスワイプ操作で楽しめ、 契約したドラゴンに変身して戦う「竜化」と様々なアクションやスキルを駆使して敵の討伐を目指す、本格RPGだ。さらに、総勢60名以上のキャラクターが登場し、豪華声優陣がフルボイスで彩るため、ゲーム性だけでなくムービーやストーリー展開にも注目したい作品である。

 そんな『ドラガリアロスト』は、主題歌にDAOKOの「終わらない世界で」が起用されるなど、音楽面も見逃せない。今回リアルサウンド テックでは、同曲のプロデュースを務めた小林武史とDAOKOによる対談を企画。同楽曲を制作することになった背景や、小林によるシンガー・DAOKO評など、バラエティに富んだ話が展開された。(編集部) 【最終ページに、撮り下ろしチェキのプレゼント企画あり】

「何か壊しにいく感じと、ホーリーなアイドル性が両方ある」(小林)

DAOKO(左)と小林武史(右)。

ーーゲームアプリ『ドラガリアロスト』の主題歌「終わらない世界で」は、作詞をDAOKOさん、作曲・編曲を小林武史さんが担当。おふたりのコラボレーションは今回が初めてですが、その前はお互いにどんな印象を持っていたんですか?

小林武史(以下、小林):間接的なつながりはあったんですよね。DAOKOさんのプロジェクトには知人の川村元気(映画プロデューサー、小説家)さんが関わっていて。去年の「打上花火」(DAOKO × 米津玄師)が主題歌になったアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』は、もともと岩井俊二くんのテレビドラマ作品だし、時間を経て、こういうふうにつながるんだなと感じていました。

DAOKO:私は10歳くらい年上の友だちが多いんですが、みんなとカラオケに行くと、ほぼ必ず小林さんがプロデュースした楽曲を歌うんです。どれも本当にいい曲だし、メロディもサウンドも歌詞も素晴らしくて。いつかご一緒できたらいいなと思っていたんですが、『ドラガリアロスト』の主題歌のお話をもらったときに、ぜひ小林さんにお願いしたいと思い、こちらからオファーさせていただきました。念願が叶いましたね。

小林:楽曲に関しては『ドラガリアロスト』のスタッフからもいろいろと説明があったんだけど、僕としては奥の深いテーマ(主題)がある曲にしたいと思ったんです。2小節くらいのフックだけで成立する曲もありますが、今回はそうではなくて、一筆書きのようでありながら、しっかり奥行きのある楽曲にしたいなと。まず僕のほうで「これかな」と思う楽曲を提示して、そこから進んでいった感じですね。「ちょっと違いますね」と言われて、「じゃあ、これはどう?」と別の曲を出す楽しさもあるんだけど、今回、それは味わえなかった(笑)。

ーー小林さんのなかでは、完成形も明確だったのでしょうか?

小林:そうですね。ただ「DAOKOというアーティストの“らしさ”をどうやって出すか?」ということはかなり考えました。トラックにはモータウンのような要素があったり、サウンド的には歪みがありつつ、リバーブも多いという感じだったんだけど、それはおそらく、いままでのDAOKOさんの楽曲にはなかったと思うんです。そのなかで「どうDAOKOさんの個性をフィットさせるか」ということですね。もちろん僕としても、彼女が持っている資質ーー何か壊しにいく感じと、ホーリー(神聖)なアイドル性が両方あるというかーーをしっかり出したいと思っていたので。

DAOKO:小林さんが送ってくださったトラックにはバンドサウンドの要素もかなり入って、それが自分の今までのサウンドにはなかったものなので、新鮮だったんです。私はニコニコ動画から音楽をはじめて、電子音楽的なものがルーツになっているところがあるので。メロディも素晴らしかったですね。「何だこれは?」という驚きもあるし、ずっと耳に残る感じもあって、自分では絶対に生み出せないメロディだなと。リリック、ラップは自由にやらせてもらったんですけど、「このトラックとメロディに負けない言葉を乗せたい」と思ったし、かなり悩みました。

ーー作詞に関しては『ドラガリアロスト』のストーリーや世界観も意識しました?

DAOKO:ストーリー自体を意識することはなかったですね。ただ、『ドラガリアロスト』の舞台は壮大だし、普遍的なものを描いていくであろう大作なので、誰が聴いても響くような言葉選びは気を付けました。ゲームをプレイする年齢層も幅広いですからね。

ーー歌詞を通して描かれる“切実な何かを抱きながら、最後まで進んでいく”というテーマは確かに普遍的ですよね。小林さんはこの歌詞について、どう思われましたか?

小林:いまを生きている生身の人間として描いている部分もあるんだけど、その一方では、すべてを浄化しているところと腐敗みたいなものを感じ取っている部分もあって。両極端なものをつなぐ感じが、多くの方がDAOKOさんに対して抱いているイメージなんだと思うし、この曲の歌詞にもそれが出ているんじゃないかな。もともと音楽は触媒というか、“何かと何かを繋いで響かせるだけの存在なのかもしれない”と思うことがあるんだけど、彼女はその新しいバージョンなのかもしれないですね。

『ドラガリアロスト 第1弾 PV』

ーー〈頑張ってみるから/終わったら抱きしめて〉というサビも印象的でした。すごくキャッチーだし、奥深い意味合いも感じられて。

DAOKO:ありがとうございます。まず“キャッチー”ということに関しては、私には“普通”がわからないというか、何がキャッチーなのかもよくわかってないと思っていて。ひとりひとりが別の星の人だと考えてるですよ、基本的には。だから、多くの人が共有できる言葉を探そうとすると、なかなかしっくり来なくて。そこはメジャーデビューしてから何度も悩んだところでもありますね。

 最近は、日々生活するなかで生まれる個人的な思いを書いたほうが、より響くんじゃないかと思っていて。「終わらない世界で」の歌詞も、確かに壮大な広がりはあるんだけど、主人公はあくまでも個人的なところに置いているんです。私のなかではワンルームくらいの規模というか(笑)。そういう小さい世界から、インターネットで世界中につながっているイメージというのは、私自身の感情でもあるんですけどね。

小林:なるほど。最近になって本でも見かけることが多くなってきた考え方として“そもそも世界なんてない”というものがあるんですよね。“これが世界です”と言える明確なものはなくて、多様な存在がたくさんある。みんなバラバラで孤独だということではなく、それぞれの思いが集まって重なり合い、そのなかに真実があるというか。僕はそれはいい傾向だと思っていて、“世界はこう捉えるのが正しい”という考え方のほうがよっぽど怖いので。

DAOKO:わかります。

小林:いまDAOKOさんは「ワンルームくらいの規模」と言ったけど、この歌詞を読むと、そういう小さい場所で歌っているとは思えない何かがあるんですよね。

DAOKO:他者性は意識していますね。ワンルームなんだけど、ひとりで完結しているのではなく、どうしても他者とのつながりを求めてしまうというか。そういうカルマ的なものをひとりひとりが抱えているのかなって。『ドラガリアロスト』も終わりがないゲームのようなんですけど、この世界もいつ終わるかはわからないじゃないですか。ずっと続くかどうかわからないけど、「終わったら抱きしめて」ほしいという……。ちょっと子供っぽいかもしれないけど“抱きしめてもらうためにがんばろう!”みたいな(笑)。私自身、そういうことでがんばれたりしますからね。

ーーなるほど。世界を明確に定義することはできなくて、多様な個の集まりのなかに真実があるという状況において、音楽の在り方も変化していくと思いますか?

小林:もう変わってきていると思うけれど、この先もせめぎ合うでしょうね。特に日本は言語の問題もあるし、世界の音楽シーンとはまた違った独自の動き方にならざるを得ないだろう思います。ただ、ずっとこの国にあるもの、たとえば「夏はやっぱりサザンだよね」みたいなものも残ってほしいという気持ちもあるんですよ。もともと日本は季節感がハッキリしている国で、それが音楽に反映されてきたわけだから。あとは“場”の在り方かな。ひとりひとりがバラバラに存在していても、思いを重ねる“場”みたいなものはあったほうがいいというか。ときどき「そんなものは要らないんだ」という声も自分のなかから聴こえてくるんですけどね。

      

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