『ロックマン』30周年記念ライブレポート 容量の制限から解放されたサウンドの鮮やかさに酔い痺れる

『ロックマン』30周年記念ライブレポ

 7月7日と8日、カプコンを代表する看板キャラクター『ロックマン』の生誕30周年を記念するライブが、東京・中野の「なかのZERO 大ホール」にて開催された。

 1987年12月、ファミリーコンピュータ用アクションゲームとして発売された『ロックマン』はシリーズ化してナンバリングを重ね、以降はスーパーファミコンやプレイステーションなど、プラットフォームを変えながら多岐に展開。近年では任天堂の対戦アクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』にもカプコンを代表して登場するなど、勇ましくも愛らしいキャラクターデザインは幅広い層から愛されている。

 今回のライブでは、ファミコン時代からの選曲だけではなく、1990年代の『~X』や、2000年代の『~エグゼ』『流星のロックマン』シリーズ、そして2018年10月に発売される『ロックマン11』など、新旧のタイトルが入り混じったセットリストが用意されていた。年齢を問わず、各世代のファンを喜ばせた約2時間の熱演をご紹介しよう。

 まず一曲目に流れてきたのは、『ロックマン』シリーズを代表する楽曲であり、2007年からニコニコ動画にて「おっくせんまん!」という歌詞コメントが話題にもなった「Dr.ワイリー Stage1」(『ロックマン2』)だ。優雅にメインメロディを奏でるバイオリンの響きと、特撮ヒーローのオープニングを彷彿するようなブラス隊のサビはメロディが印象に強く残った。

 今回のライブはギター、ベース、ドラム、キーボードといった基本的なバンド編成に、バイオリンやサックス、トランペットといったブラス隊を加えたものとなっているのが特徴的だ。これまでに数多くのゲーム音楽を手がけてきた岩垂徳行氏によるアレンジは原曲の雰囲気を損ねることなく、いわゆる「ピコピコサウンド」の8bit音源で作られた原曲たちを容量の制限から解放した。これによって、ギターサウンドを全面的に押し出すロックな部分もあれば、伸び伸びとしたバイオリンと甲高く鳴る金管楽器によるシックな組み合わせを展開するなど、聴き親しんできた楽曲の新たな一面を知ることができただろう。


 MCを勤めるフリーアナウンサーの楪望氏(写真右)と、コミュニケーションサイト「ロックマンユニティ」の管理人であるウッチー氏(写真左)の両名が進行するトークステージでは、スペシャルゲストとして『ロックマン11』のプロデューサーであるカプコンの土屋和弘氏(写真中)も登場。「顔面に音が当たるような迫力だったので、ステージの袖ではなく、みなさんと一緒に客席から見たかった(笑)」と、バンドアレンジに圧倒された様子だ。また、『ロックマン』のシリーズがここまで続いたことに対し、「30年というのは赤子が大人になる年月ですから、そこに至ることができたのは何百、何千人という開発や宣伝のスタッフ、ソフトをお店に並べてくれる店員さんがいて、そしてその先には数え切れない何千万人というファンの方たちがいたからこそ、この節目があるので本当に感謝しかない。そこに立ち会えることは光栄に思いますし、その重みを感じながらこれからも仕事をしたいと思います」と、ファンの期待を背負った。

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