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バーチャルリアリティは“現実の再現”ではないーー映像演出家がVR活用例とともに、その実力を解説

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 VRにおける2018年のビジネスは、残念ながらまだ多くの分野でマネタイズが困難な状況です。その主な理由は、VR機器の一般家庭への普及率の低さ。現状では、一部の先進的な企業が試作品としてコンテンツを作っているか、プロモーション専用コンテンツとして制作しているケースが多い。

 しかし、そんな中でも、ロケーション型VR施設や、ハイクオリティなVRビデオ作品が数多く生み出されており、その可能性を見せています。まずはYouTubeで見られる360度ビデオから、その魅力を分析していきましょう。

世界観表現型ビデオ

攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Diver(公式ティザー映像)

 この映像を見ると、目の前に見えているのは、ゴーグルに映った電気信号だと頭では理解していても、思わず手を伸ばして触ってみたくなるリアリティがあります。 攻殻機動隊の原作を楽しんだ人が感動するのはもちろん、原作を見ていない人でも、一瞬で近未来SFアクションの世界に入り込んだ感覚が楽しめるはず。3DVRの強みを生かした没入感は、これまで以上に視聴者を作品の世界へと、深く没頭させます。

ジャーナリズム

The Displaced | 360 VR Video | The New York Times

 360度ビデオの強みの一つは、目の前にあるものを「ありのまま」伝えること。NYタイムズ誌が紛争地帯を撮影した『The Displaced』は、全世界に3000万人以上いるとされている、自分の家を失った子どもの現状を伝えるドキュメンタリーVR映像です。

 20世紀は「何をカメラのフレームに収め、何をカメラのフレームから排除するか」といった撮影演出の技法が発達した時代でした。それは同時に、多くの美しい誇張や悲しい嘘を量産することにもなっていた。

 しかしVRコンテンツの場合、360度すべてがありのままに映ってしまうので、カメラマンの「意図」が劇的に薄まります。そして、ユーザーそれぞれが自分の見たいアングルを自ら選ぶことにより、受動的に鑑賞するだけだったコンテンツが、能動的に見る『体験』に変化していきます。

 VRカメラには「画角」という概念がないので、実写に限って言えば、VRの方が編集が早く終わる傾向があります。この即時性も、VRがジャーナリズムに向いている理由の一つです。

アート作品としてのVRビデオ

18夢世界VR Ver.1

 昨年オンエアされたテレビアニメ『18if 夢世界』。その世界観を伝えるアート作品として制作したVR作品は、日本を代表する映像作家 森本晃司さんが監督を、浅田真理さんがアートディレクターを務め、各地からクリエイターを集めて作られました。

 私もVisualEffectアーティストとしてこの作品に参加しましたが、夢の中という非常に抽象的な世界をテーマにしているため、VRならではの「浮遊感がちょっと不気味だけど綺麗な世界観」とうまくマッチしました。

 これらの例のように、現状では、VRムービーはプロモーション用途として、先行投資的に制作されている事例が多いように思います。一方、少しずつではありますが、VRコンテンツを500円~2000円でダウンロード販売するスタイルも着実に増えてきています。将来的にはVRコンテンツ単体でもマネタイズできる日が訪れるでしょう。

 それでは、体を使って楽しむロケーション型VRはどうでしょうか。

『攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds』

VR ZONE SHINJUKU / 攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds

 VRzoneSHINJUKUに新しく導入されたVRゲーム『攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds』は、これぞMR(Mixed Reality)というゲームです。

 MixedRealityとはVRとARを掛け合わせたもので、物理世界に電子情報を上乗せする技術のこと。現在はMicrosoftのHoloLensなど、専用デバイスの開発が順調に進んでいます。

 VR Zone新宿では、これまでは座って遊ぶVRゲームが主流でしたが、フィールドVRアクティビティが追加されたことで、電子世界の中を文字通り自分の足で歩き回る体験ができるようになっています。

eスポーツ:HADO

HADO WORLD CUP 2017ダイジェスト

 eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)自体はVRが普及し始める前から盛り上がっていましたが、今までは基本的にコンソールに座って対戦する、というスタイルでした。ところが、VR・ARの登場により、文字通りスポーツ的な全身を使った競技へと進化し始めています。

 無線型ヘッドマウントを各プレイヤーがつけて対戦する『HADO』の世界大会は、モニターでもAR情報が表示され、観客とプレイヤーが同じ空間を共有できるよう工夫がこらされています。何より、世界中からチャレンジャーが集まる規模に、ARゲームの進化を強烈に印象付けられました。

      

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