VRビジネスは2018年に急成長する? 映像演出家が現在の市場動向を解説

 皆さん初めまして、VJyouです。普段は映像演出家としてステージ演出を行う傍ら、音楽イベント等では自分自身もVJアーティストとして活動しています。この度はReal Soundさんのお誘いのおかげで、VRに関する連載をさせていただくことになりました。

 2016年がVR元年と呼ばれ専門家の間では一大ブームとなりましたが、一般レベルではまだまだVRへの馴染みは薄いと思われます。しかしながら、2016年のVR元年、2017の試行錯誤時期を越えて、2018年はVRが一気に加速する可能性を秘めている年だと自分は思っています。この連載では、「2018年 VRへの期待!」ということで、第1回目は「VRにおけるビジネスの現在」について書こうと思います。

 VRにおける2018年のビジネスの現状は、残念ながらまだまだ多くの分野でマネタイズが困難な状況です。一部の先進的な企業が、試作品としてコンテンツを作っている場合がほとんどです。どうしてまだ利益を生みにくいのに多くの企業が参入しているのでしょう。それは、将来性があるので、今のうちに先行投資をしておくと先行者利益が得られるからです。

 現在のVR界隈の詳細を説明する前に、将来の予想についてちょっと説明しようと思います。VR界隈の予報については、2016年にゴールドマンサックス社の発表したGoldman Sachs Global Investment Research というレポートに詳細に書いてありますので、一部解説したいと思います。(参考:Goldman Sachs Global Investment Research

 まず、一番大きくなると予想されているのがVRゲーム市場です。2025年頃の世界のVRゲームの市場規模は116億ドル(約1兆3千億円)になると予想されています。ゲーム、ライブイベント、ビデオエンターテイメントを足すと189億ドル(約2兆円)になります。

 身近な数字で比較すると、日本のコンテンツ産業の市場規模は約12兆円でほぼ横ばいとなっているので、現在の日本のコンテンツ市場の約15%に相当する市場が新たに世界に生まれることになります。(参考:『コンテンツ産業制作について』 経済産業省 コンテンツ産業課

 さらに、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の市場予測では1100億ドル(約12兆円)まで伸びると予想されています。これは、テレビ業界やタブレットPC業界よりも大きな金額です。

 もちろん、これは2025年に取引されるされるHMDの市場規模がTVより大きくなる可能性があるというだけなので、すぐにテレビユーザーよりもHMDユーザーの方が増えるというわけではありません。テレビやタブレットは既に多くの台数が出回っているので、普及率ベースでHMDが追いつくのはもうしばらく時間がかかると思います。

 それでも、ハードウェアの市場規模としてテレビ業界よりも大きくなると予想されるのは大きなインパクトだと思います。余談ですが、このHMD市場で日本メーカーの影がまだまだ薄いのが若干不安になります。

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