キズナアイ、ねこみみマスター、東雲めぐ……バーチャルYouTuber、なぜ爆発的にヒット?
3DCGなどによる架空のキャラクターがYouTube上で動画配信を行う「バーチャルYouTuber」が人気だ。はじめてバーチャルYouTuberとの呼称を使用して2016年10月から活動を開始した「キズナアイ」は、現在までに166万人以上のチャンネル登録者数を獲得し、最も人気のある動画「体力測定をやってみる!」は、296万回再生を記録している。
バーチャルYouTuberとして活動を開始するユーザーは爆発的に増加しており、これまでにないタイプのキャラクターも続々と登場している。YouTuberが行ってきたゲーム実況や雑談といった動画コンテンツを、架空のキャラクターによって行わせるバーチャルYouTuberは、いったいなぜこれほど流行しているのか。ITやネット文化に詳しいジャーナリストの西田宗千佳氏に話を聞いた。
「これまでもニコニコ動画などでは、一枚絵のキャラクターに『棒読みちゃん』などの文章読み上げソフトでアフレコを付けたりする動画はありました。昨今では、3DCGにモーションキャプチャを付けるデバイスや、バーチャルリアリティ用のヘッドセットやコントローラーが普及したことから、以前よりも簡単に3DCGのキャラクターに人間の動きを取り込むことができるようになりました。こうした技術によって、よりリアルで親しみやすいキャラクターとして動画配信できるようになったのが、バーチャルYouTuberだといえるでしょう。
バーチャルYouTuberがおもしろいのは、そのキャラクターの“中の人”がまったくの別人でも大丈夫だというところにあると思います。たとえば、美少女のキャラクターで仕草が親しみを持てるものであれば、中の人が中年男性だとしても、人気を得られる可能性がある。中の人も、美少女のキャラクターに合わせて動くことで、普段の自分とは異なるキャラクターになりきることができます。実際、声が中年男性のママなのに絶大な人気を誇る『ねこみみマスター(バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん)』というバーチャルYouTuberも登場しています。すでにYouTuberの世界は一部のトップしか稼ぐことができないほど飽和状態にありますが、バーチャルYouTuberであれば参入できる余地があり、しかも自身とは別のキャラクターになって配信ができる。ここに、盛り上がっている理由のひとつがあるのでは」
また、バーチャルYouTuberの技術や手法は、ほかのジャンルにも波及する可能性があると、西田氏は続ける。