Ryan Adamsの記事・ニュース・画像一覧

傷つきやすい魂を抱えた男……。ライアン・アダムスの歌を聴いていると、グラム・パーソンズやリチャード・マニュエルを思い出さざるをえない。憂鬱ながらも深い情感が込められた声は、聴くものを感傷の底へ突き落とすような力をもっているのだ。
幼い頃よりパンクとカントリーを愛聴し、直情的な攻撃性と細やかな感情表現の両方を継承。自身がフロントマンを務めるウィスキータウンの活動軌道が定まらないのも、そのムラッ気ゆえか……。
00年の初ソロ・アルバム『ハートブレイカー』は、ナッシュヴィルにおいて僅か２週間で録音されたという。楽器をできるだけ絞った簡素極まりないサウンドにのって、センシティヴな心情を無防備に曝け出す。エミルー・ハリスやギリアン・ウェルチといったゲスト陣も、ライアンの孤独感を浮き彫りにしていく。特にエミルーがデュエットする「Oh My Sweet Carolina」は名曲。ここでのライアンの歌唱は余りにはかなく、余りに美しい。飯を抜いてでも聴くべきアルバムである。