中島健人が“相談したくなる”セラピストを体現 Netflixシリーズ『SとX』が切り拓いたもの

Netflixの日本発の作品といえば、性的な題材を扱ったものが少なくない。AV(アダルトビデオ)などに代表される性産業の特殊性や、海外で「ヘンタイ」などと称されるアニメ系のエクストリームな表現が話題になることもあるジャパニーズカルチャーだけに、そういった面を扱うことが、年齢制限のある配信サービスにおいて期待されがちな状況もある。
しかし、今回リリースされたNetflixシリーズ『SとX』は、そういった作品だと予想させておいて、実際には少し違ったものを提供するドラマシリーズだ。ここでは、そんな『SとX』の切り拓いたものが何だったのかを考えてみたい。
原作となった多田基生の漫画作品『SとX~セラピスト霜鳥壱人の告白~』は、日本ではまだまだ馴染みのない「セックスセラピー」を題材とした作品だった。多くの市民が精神的なセラピーを利用するアメリカでは、資格を持つ第三者に性の悩みを相談することも、それほど珍しいことではないという。
性にまつわる相談をすることは、恥ずかしいことでも奇異なことでもない……そういう価値観のもと、日本のクリニックを主な舞台に、セックスセラピスト・霜鳥壱人が、さまざまな人々の性の悩みを解決していくというのが、原作の内容だ。ドラマ版である本シリーズ『SとX』もまた、そういったストーリーを踏襲している。
霜鳥壱人を演じるのは、中島健人。アイドルグループでは王子様キャラを体現していた彼が、華やかさを引き継ぎながらも、ここでは理知的で包容力のある、“相談したくなる”誠実で柔和なキャラクターを演じている。たしかに、こうしたある種の爽やかさがあってこそ、男性のみならず女性のセラピー患者もデリケートな問題を打ち明けるという設定に説得力が生まれるのかもしれない。
夫婦間のセックスレスやED、セックス依存症など、性の悩みは多岐にわたる。さらに現代的な要素として、“二次元推し活”や“VRセックス”なども、本シリーズのオリジナル要素として追加されている。こうした新要素も含めて、ドラマのストーリーは原作からさまざまな部分が再構成されているのだ。原作に忠実な話し運びが多くなってきている日本のドラマ界では、ややチャレンジングな試みではある。
「セックスに悩んでいない人なんていませんから」という、患者を安心させる霜鳥の言葉の通り、じつは霜鳥自身もセックスに対して精神上の問題があったというのが、原作と共通の展開だ。霜鳥は、患者の気持ちや過去の原因を読み解いて、その患者固有の“処方箋”を用意して治療へと導いていく。その上で彼は、幼なじみの女性アナウンサー・市之瀬佑美(新木優子)との関係を深めることを望み、自分自身の避けてきた過去とも向き合うことになるのだ。




















