“瀬尾”佐野勇斗が放った「結婚しよう」の衝撃 『君の好きは無敵』が繋ぐ“好き”の力
引退の言葉とともに鞠子が語ったのは、ベリーを愛し続けてくれる人たちへの思いだった。「何位であろうと、私にはベリーちゃんを愛してくれる人がいる」。流行り廃りがあり、人気投票では順位もつく。それでも、ずっとそばに置き、好きでいてくれる人がいる限り、ベリーの価値は揺らがない。鞠子にとって何より大切だったのは、数字で測れる人気ではなく、ベリーを愛し続けてくれる一人ひとりの存在だったのだろう。
そして、「ベリーちゃんのことは引き続きMERRYが守ってくれると信じています」という言葉にも、思わずしびれた。多くの人が見守る舞台でそう宣言された以上、大三島もベリーを簡単には蔑ろにできない。自分が引退したあとも、ベリーとそのファンの居場所を守る。あれは単なる信頼の表明ではなく、最後までベリーのために戦い抜いた鞠子の一手だったのではないか。
グランプリに、しずくちゃんやソラカラちゃん、ケアベアといった実在のキャラクターが登場していたことも印象的だ。懐かしさを覚えた人もいたかもしれないが、今も変わらず愛している人がいて、守り続けている作り手がいる。だからこそ、彼らはあの場所に集まることができたのだろう。物語の外側から、鞠子の言葉をそっと支えてくれているようで、胸が熱くなった。
その一方で、大三島が率いるMERRYのシニカルモルコは、前回の1位から10位に順位を落としていた。キャラクターを利益のための道具としか見ていない大三島の姿勢が、その結果につながったようにも思えてしまう。彼のもとからは、廣瀬(藤井隆)、佐々岡(小野花梨)に続き、鞠子まで去ることになった。キャラクターも、それを生み出す人も大切にできないMERRYは、この先大丈夫なのだろうか。
鞠子は瀬尾に、キャラクターを生み出すこと以上に、長く人の心に残り続けることの難しさを説く。なぜなら、「かわいい」の周りには、それを利用したり傷つけたりしようとする、かわいくない魑魅魍魎がうごめいているからだ。鞠子にとって、そんな茨の道を歩き続ける力になっていたのは、「好き」という気持ちだった。
「周りがどうあろうと好きを貫くこと。大事なものはしっかり掲げて、自分の手で守り抜きなさい」
半世紀近くベリーとファンを守り続けてきた鞠子の言葉には、デザイナーとしての矜持がにじむ。それを受けた瀬尾が「俺の好きを作ってくれて、ありがとう」と告げる場面からは、鞠子が守り続けた「好き」が、孫へと確かに受け継がれていることが分かる。
直後、瀬尾は杏奈に抱きつき、「結婚しよう」とプロポーズする。あまりに唐突ではあるが、彼にとって杏奈は、自分の「好き」を理解し、同じものを大切にしてくれる人。チュエラとともに、これから自分の手で守り抜きたい存在になっていたのだろう。鞠子から受け取った「好き」を胸に、瀬尾が新しい一歩を踏み出した瞬間だった。
■放送情報
火曜ドラマ『君の好きは無敵』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:松本若菜、佐野勇斗、小野花梨、金田哲(はんにゃ.)、中村隼人、白本彩奈、島崎和歌子、藤井隆
声の出演:あの(シニカルモルコ役)
脚本:宮本武史
演出:竹村謙太郎、府川亮介、渡部篤史、尾本克宏ほか
主題歌:星野源
プロデューサー:岩崎愛奈
協力プロデューサー:小髙夏実
編成:吉藤芽衣
取材協力:株式会社サンリオ
製作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kiminosukihamuteki_tbs/
公式X(旧Twitter):@kiminosuki_tbs