『映画ちいかわ』はハチワレのバッドエンドを示唆? 美しくも不穏な“友達”描写

『映画ちいかわ』ハチワレのバッドエンド伏線

 人気マンガ『ちいかわ』の劇場版アニメとして、大ヒットを記録している『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。劇中でハチワレが歌う「今日の日はさようなら」が象徴するように、同作は“友情”をテーマに据えた物語となっている。

 ちいかわとハチワレ、うさぎの友情、そしてヒトハとフタバという島民2人組の友情……。どちらも一見美しい関係性に見えるが、そこには不穏な気配が漂っている。

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 同作で描かれるのは、「セイレーン編」と呼ばれるエピソード。ちいかわたちがラッコと共に「島」へと訪れ、島民たちを連れ去っていく巨大なセイレーンの討伐を依頼されるというストーリーだ。

 そこで印象的な劇中歌として登場するのが、「いつまでも絶えることなく友達でいよう」という一節から始まる曲「今日の日はさようなら」。ハチワレは物語の序盤と最後で、ちいかわとの友情を確かめ合う。

※以下、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』のネタバレを含みます。

 その一方、物語において重要な役割を担う島民のヒトハとフタバも、“永遠の友情”を誓い合った関係性だ。しかしこの2人の友情はある種の呪いと化してしまい、エンドロール後には悲劇的な結末を迎えることが示唆されるのだった。

 つまり同作ではちいかわとハチワレの関係が、悲劇で終わる友情と対比されているということになるだろう。これはたんなる露悪的な見方ではなく、原作でもハチワレ絡みで悲劇を示唆するような展開が描かれている。

 前提となるのは、ちいかわたちの種族、通称“ちいかわ族”が何らかの条件で「でかつよ化」する可能性があるという設定だ。作中で明言されたわけではないが、ちいかわ族が突如でかつよ化する描写があることなどから、そうした考察が広く受け入れられている。そして実際にハチワレは「ふしぎな杖編」と「パラレルワールド編」において、でかつよ化するところが描かれるのだった。

 とくに重要なのは、「パラレルワールド編」の描写だ。同エピソードはちいかわが蜂のような虫に頭を刺されるところから始まる。熱を出して寝込んだちいかわのもとにやってきたハチワレは、見慣れた世界にそっくりだが何かが決定的に違うパラレルワールドに迷い込んでしまう。

 ハチワレは元の世界に帰るため、パラレルワールドが生まれる原因になった「虫」を退治することに。悪戦苦闘するなかで、ハチワレの身体にも異変が生じ、でかつよ化していく。ハチワレ自身は身体が大きくなっただけという認識のようだが、その姿を見たちいかわは、恐怖に怯えた様子で武器を向ける。するとハチワレは「言わないでしょそんな事ッ」「言わないよねェッ」と怒りをあらわにするのだった。

ちいかわ 公式X

 普段の穏やかな性格からは考えられない言動なので、ここでハチワレは見た目だけでなく、心まででかつよ化しかかっていたものと思われる。

 「パラレルワールド編」で体験した出来事はハチワレにとって、一種のトラウマとなったようだ。その後、ちいかわに対して「どんなことがあっても」「ともだちでいてくれるよねェッ」と友情を確かめようとする回や、穴に落ちたちいかわを助けようとして拒絶される悪夢を見る回などで、ハチワレの心に植え付けられた不安の強さが示されている。

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