『さよならノワール』“元暴力団員役”佐久本宝が存在感を発揮 小池栄子との演技合戦が白熱

再び病室を訪れた夏海と絵梨子に、高坂は祥仁會に入った経緯や、組を抜けた理由を話す。そこで口にしたのが、「俺は男になれなかったんだよ。ヤクザとしても、カタギとしても」という言葉だった。夏海に「誰かをかばってるの?」と見抜かれた高坂は、ナイフを手に絵梨子を人質にする。しかし、300万円の盗難は一丸による自作自演だったことが判明。高坂は世話になった一丸を守り、その恩に報いるため、自分が窃盗犯になることを選んでいたのだ。

「こんなことさせてしまったのは、アタシがあんたの気持ちを分かってやれなかったから」。夏海が高坂を責めるのではなく、自分にも責任を引き寄せると、張り詰めていた彼の表情がわずかに崩れる。小池は声を荒らげることなく、低く落ち着いた口調と高坂を見つめ続ける視線に、再び彼を罪人にしてはいけないという切実さを込めた。対する佐久本も、恩人を守りたい思いと、再び罪を背負う恐れを、潤んだ目や言葉をのみ込むような間で見せていく。
高坂を演じる佐久本は、映画初出演となった『怒り』で1200人のオーディションを勝ち抜き、知念辰哉役に抜擢。第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。その後も、NHK連続テレビ小説『エール』で主人公の弟・浩二、映画『十一人の賊軍』で純粋な青年・ノロを演じてきた。今回も一丸への恩義と再び罪を背負うことへの恐れの間で揺れる高坂の内面を、抑えた声や視線の動きで丁寧に表現。小池の静かだが力強い語りかけを受けるたびに高坂の強がりがほどけていく、その繊細なやり取りに説得力があった。

夏海はさらに、「どん底から這い上がって、過ちを乗り越えて、歯を食いしばって頑張ってきたアンタだからこそ言えることでしょ」と訴える。一丸の罪を代わりにかぶるのではなく、過ちは過ちだと伝えること。それこそが高坂にしかできない恩返しであり、彼が求めていた“男になる”ということなのだ。
誰かを守るために自分を犠牲にするのではなく、相手が過ちから立ち直れるよう向き合う。小池の静かな訴えと、佐久本の揺れ動く表情が、高坂が別の生き方を選び直す瞬間を印象深いものにした。「男になれなかった」と自らを否定していた高坂が、過去を背負ったままでもやり直せることを示した第5話だった。
■放送情報
『さよならノワール』
フジテレビ系にて、週火曜21:00〜21:54放送
出演:小池栄子、北香那、岡山天音、荒川良々、味方良介、濱尾ノリタカ、利重剛、眞島秀和、岡部たかし、浅野和之、戸田恵子、渡部篤郎ほか
脚本:井上由美子
演出:河毛俊作、清矢明子、柳沢凌介
音楽:菊地成孔
主題歌:chilldspot「ドラマ」(RECA Records)
衣装:伊賀大介
心理監修:石橋昭良(臨床心理士/非行臨床研究所)
警察監修:石坂隆昌(ユヌ・ファクトリー)
プロデュース:狩野雄太(スタジオ戦略本部 第1スタジオ ドラマ・映画制作センター)
制作プロデューサー:清家優輝、岸川正史(ファインエンターテイメント)
制作協力:ファインエンターテイメント
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/sayonaranoir-cx/
公式X(旧Twitter):https://x.com/sayonaranoir_cx





















