『ガス人間』小栗旬の座長力に圧倒される 可能性を拡張する“国民的俳優”としての真価

『ガス人間』小栗旬の座長力に圧倒される

 Netflixで世界独占配信がスタートするやいなや、『ガス人間』が大いに話題になっている。第1話を鑑賞してすぐに、こんなものが自宅で観られるようになってしまうと、なおさら人々は映画館に足を運ばなくなってしまうのではないかと思ってしまったほど(“劇場体験”の特異性と素晴らしさは置いておいて)。 

 壮大なスケールで展開する骨太で繊細な物語に、タイトルロールである“ガス人間”を表現する技術にも息を呑む。そしてとにもかくにも、俳優たち一人ひとりが美しい。そんな作品を主演俳優として背負っているのが、小栗旬だ。全話をコンプリートしたいま、彼の座長ぶりに圧倒されているところである。

 本作は、1960年公開の特撮映画『ガス人間第一号』を、『ガンニバル』(2022年/ディズニープラス)などの片山慎三監督が主演の小栗とのタッグでリブートさせたもの。突如として現れたガス人間の脅威に人々が怯える日本で、警察組織やマスコミ、果ては政界や裏社会をも巻き込んだ群像劇が繰り広げられていく。小栗が演じるのは、刑事の岡本賢治だ。

 俳優・小栗旬といえば、日本のエンターテインメント界の中核を担う存在として誰もが認識していることだろう。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年/NHK総合)で主演を務めた経験のある彼は、放送中の『豊臣兄弟!』では織田信長を力演している。いまでは知らぬ人のほうが少ない、そんな“国民的俳優”だと言ってもいいだろう。

 しかし、有名であることと演技者としての力の大きさや深さは、イコールではない。映画やドラマなどのコンテンツが次から次へと作られる日本にあっても、主演を務められる存在はかぎられている。とくに『ガス人間』のようなスケール感の作品となると、ほかにどれくらい、主演を張ることのできる人物がいるだろうか。第1話を観ていて、小栗が主演であることに納得するのと同時に、彼以外ありえなかったはずだと確信した。

 近年のドラマならば『日本沈没ー希望のひとー』(2021年/TBS系)で、映画ならば『フロントライン』(2025年)で、小栗は主演を務めている。前者はそのタイトルから分かるだろうが、後者はコロナ禍の最前線で闘う人々の姿を描いた作品で、どちらも危機に瀕した日本を物語の舞台に据えている。今回の『ガス人間』もそうだ。この国はガス人間の登場によって、未曾有の事態に陥る。これに立ち向かうヒーローが、国民的俳優の小栗旬というわけである。

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