青柳翔とハ・ヨンスが“異文化交流”を体現 『ディッシュアップ』の言語化しがたい魅力

連続するコメディシーンと、唐突に出現する異様なカット。奔放なヒロインを中心に物語が動く、ファンタジックかつシュールな展開……。2023年のSKIPシティ国際Dシネマ映画祭の国内短編部門で優秀賞を受賞し、本作で長編映画デビューを果たした池本陽海監督の『ディッシュアップ』は、ところどころで笑わせられながらも、とにかく不思議な気分に包まれる特異な日本映画だ。
劇団EXILEに所属し、数々のドラマや映画に出演する青柳翔。韓国出身で近年はNHK連続テレビ小説『虎に翼』に出演するなど、日本を主軸に活躍するハ・ヨンス。本作『ディッシュアップ』は、全体的に見れば、この二人の俳優によるロマンティックコメディだ。しかし、鑑賞中の手ざわりは、そうした映画によくあるお決まりのレールとは異なるところを走っていることに気づくはずである。ここでは、そんな本作の、言語化しがたい魅力を解き明かしていきたい。
青柳翔が演じるのは、3年前に父親を亡くし、お食事処「ゆりえ」を継いだ店主・上原譲治だ。彼が作るのは特別に派手な料理ではないが、丹念に出汁を取るなど、確かな味を守るために実直な努力を重ねている。しかし、そうした地味な仕事が軽視される時代なのか、常連がいなくなってからは客足が遠のいていた。そんな店に現れるのが、いつでもトラブルを巻き起こす元気な女性キム・ジュリ(ハ・ヨンス)だ。
韓国から和食を学びに来日したというジュリは、席に置かれていた料理を勝手に食べて衝撃を受け、ここで働かせてほしいと申し出る。彼女が食べる、まかないの「オムライス茶漬け」のような料理は、確かに食欲をそそる。しかし、「ゆりえ」にはすでに従業員(三河悠冴)が存在していたのだ。それを知ると、ジュリはとんでもない行動に出る。角材を武器にして、夜陰に乗じて彼を襲撃するのである。
あまりにも不穏な展開だと言わざるを得ないが、数奇な運命によってこの一件は丸く収まり、ジュリは「ゆりえ」で働き始めることになる。この、パワフルな女子が突き進んでいくファンタジックな展開や、シュールな場面にインスピレーションを与えているのが、相米慎二監督の『東京上空いらっしゃいませ』(1990年)だったのだという。
『東京上空いらっしゃいませ』は、この作品でデビューを飾った牧瀬里穂が、やはりそのキラキラとした魅力と若い勢いで、超展開を強引に納得させるところがあった。本作『ディッシュアップ』は、このぎりぎり破綻してしまっているカオスをこそ、作品に呼び込もうとしているのだ。























