SNSで大流行中の“タゴサク構文”とは? 『爆弾』佐藤二朗の怪演がネットミームになった理由
とはいえ、構文としての使いやすさだけで、ここまで広がったわけではない。根本にあるのは、スズキタゴサクというキャラクターそのものの魅力だ。佐藤二朗といえば、コメディ作品で見せる独特の間合いや、言葉の引っかかりで強い印象を残してきた俳優である。かと思いきや、『爆弾』では、その持ち味が笑いではなく不気味さへと反転している。ふとした沈黙、妙に丁寧な口調、相手の神経を逆なでするような視線。普通の人間に見える瞬間と、底の知れない怪物に見える瞬間が、同じ表情の中で何度も入れ替わる。佐藤の演技は、観客に安心して笑うことを許さない。むしろ、笑ってしまった自分の感覚まで不安にさせる。そうした意味で、タゴサクは佐藤二朗のキャリアの中でも、ひときわ強い印象を残すキャラクターになった。
『地面師たち』豊川悦司、『キングダム』大沢たかお 怪演が“ネットミーム化”された俳優たち
ドラマや映画の内容を超えて、その中で発したセリフが独り歩きする。最近ではSNSで該当シーンが切り取られて、いわゆる“ネットミーム…近年、国内ドラマや邦画からネットミームが生まれる例は少しずつ増えている。Netflixシリーズ『地面師たち』では、豊川悦司演じるハリソン山中のセリフ回しがSNSで話題となった。映画『キングダム』シリーズでは、大沢たかお演じる王騎の表情や佇まいが、画像やモノマネを通して広がっていった。これらに共通しているのは、作品を観ていない人にも伝わる分かりやすい特徴があったことだ。ハリソン山中には、独特の間と不気味な余韻を残すセリフ回しがあったし、王騎には、一目で分かる表情の迫力と、真似したくなる口調があった。そしてタゴサクには、「○○します。○○だからです」という、文字でも動画でも再現しやすい言葉の型がある。
SNSは、作品そのものの感想だけでなく、印象的なセリフや口調が切り出され、別の形で楽しまれることも多い。“タゴサク構文”も、その流れの中で広がったミームだ。もちろん、構文として広がることで、作品の一部分だけが強く印象づけられてしまう面もある。ただ、“タゴサク構文”は、言葉の型だけが面白がられているようでいて、その背景にはスズキタゴサクというキャラクターの不気味さがあまりにも強烈だ。だからこそ、“タゴサク構文”の広がりは、映画『爆弾』という作品の強さと、タゴサクの印象深さをあらためて示す出来事だったといえる。
参照
※1. https://x.com/actor_satojiro/status/2054500427044102641?lang=ja
※2. https://youtu.be/EceZCP936Qs?si=c4TSYkOjr3m33RIZ
※3. https://x.com/calameuyamuya/status/2051231358475993392?s=20
※4. https://youtu.be/WOKA8QbrloA?si=BmfzZz9F53j-KmTM
■配信情報
『爆弾』
Netflixにて配信中
出演:山田裕貴、伊藤沙莉、染谷将太、坂東龍汰、寛一郎、片岡千之助、中田青渚、加藤雅也、正名僕蔵、夏川結衣、渡部篤郎、佐藤二朗
原作:呉勝浩『爆弾』(講談社文庫)
監督:永井聡
脚本:八津弘幸、山浦雅大
主題歌:宮本浩次「I AM HERO」(UNIVERSAL SIGMA)
配給:ワーナー・ブラザース映画
©呉勝浩/講談社 ©2025映画『爆弾』製作委員会
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