『エラー』は“償えない罪”をどう描いたのか 畑芽育×志田未来が示した“許し”の可能性

『エラー』は“償えない罪”をどう描いた?

 私たちの日常は、選択の繰り返しである。その結果は積み重なって、いつしか人生となってゆく。「どちらを選んでも正解」ということはほぼなくて、だいたいの選択に「正解」と「不正解」がつきまとう。選んだ瞬間はなにが正しいのかわからないけど、「正解」を選べなかった時点で、それ以外はすべて「間違い」なのかもしれない。

 加害者と被害者の友情を描いた『エラー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)には、ふとした過ちで足元を掬われる地雷だらけの世の中で、「間違った」と自らを責めつづける若者たちがいた。初回からアクセル全開で始まった物語は、視聴者の心を容赦なく揺さぶりながら、一度も速度を落とすことなく最後まで突き進んだ。

 母の転落死をきっかけに実家へ戻ることになった未央(志田未来)は、引っ越し作業員のユメ(畑芽育)と親しくなる。母を失った悲しみに加え、その事故のせいで赤の他人を巻き込んだ“加害者遺族の娘”としての重荷を背負う未央に、手を差し伸べたのがユメだったのだ。

 だが、その出会いはあまりにも皮肉だ。事故当日、ビルの屋上に佇む未央の母をたまたま見かけたユメは、自殺を思いとどまらせようとしていた。ところが、突然飛びかかった鳩を振り払おうとした瞬間、伸ばした手が背中に触れ、結果的に彼女を死へ追いやってしまったのである。未央との友情が深まるほどに、ユメの罪悪感は膨れ上がってゆく。

 たびたび思い出したのが、2024年に放送されたドラマ『3000万』(NHK総合)だ。海外ドラマのライターズ・ルーム方式を採用した同作は、弥重早希子、名嘉友美、山口智之、松井周によるチームライティングから生まれた。第1話と最終話の脚本、さらに原案を手がけたのが、『エラー』で全話脚本を担当していた弥重早希子である。

 『3000万』はタイトルの通り、とあるアクシデントをきっかけに3000万円という大金を手にしてしまったことから、運命の歯車が狂い始めた家族の物語だ。息子が持って帰ってきた現金3000万円入りのカバンを返すチャンスは何度かあった。警察に助けを求める機会も何度もあった。祐子(安達祐実)と義光(青木崇高)はそのたびに選択を誤り、後戻りのできない泥沼にズブズブとハマってしまう。

 しかし、怒涛の展開続きだった『3000万』の結末は、驚くほど穏やかだった。祐子が運転する車が引き返すラストシーンに、ああ、これは選択を間違えつづけた人がようやく“踏みとどまる”までの物語だったのだと気付いた。あの瞬間、祐子はやっと踏みとどまれたのだ。

 NHK広報局のnoteに掲載された『3000万』の制作記に、弥重は「ジャンルに関係なく脚本を書き始めた初期の頃から『間違ってしまう人』を描きたいと思ってきた」(※)と綴っている。そう考えると、踏みとどまるどころか、すでに間違って穴に落ちてしまった人がいた『エラー』は、『3000万』のその先を描いた物語なのかもしれない。

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