パク・ウンビン×チャ・ウヌが愛すべきポンコツに 『ワンダーフールズ』の温かな人間賛歌

『ワンダーフールズ』が描く温かな人間賛歌

 そして、チャ・ウヌだ。「顔面国宝」と称される非現実的な美貌を持つ彼が本作で演じたのは、完璧な力を持ちながらも人との繋がりを恐れ、孤独の檻に自らを閉じ込めてきた男だ。劇中で披露される鍛え上げられた肉体美は、彼がこの役にどれほどの覚悟と徹底した自己管理で挑んだかが一目で伝わり、キャラクターの強靭さと孤独を同時に体現している。

 さらに、これまでの王子様オーラを封印したタバコを吸う場面では、SNSで「本当は抵抗感があるのに、めちゃくちゃかっこいいの何よ……」と、複雑な気持ちのまま感情迷子になってしまう視聴者(筆者も含めて)の声が続出。ロマンスを封印したことで逆ににじみ出る、チャ・ウヌの持つ静かな色気や、随所で見せる鋭い視線は、彼のキャリアにおける確かな新境地だ。だからこそ、そんな彼が物語の思わぬ場面で見せる突然のキスシーンは、極上のサプライズのようで、思わずウンジョンの頭の中を覗いてみたくなる。

 本作の隠れたMVPは、チェ・デフンとイム・ソンジェの2人だ。パク・ウンビンを含めた3人が生み出すテンポのいい掛け合いは、それだけで劇中の空気を一瞬にしてコメディへと塗り替えていく。

 184cmの恵まれた体格に反して町公認のクレームおじさんとして登場するギョンフン。吸着能力を得てなお誰かに舐められ続ける哀愁を、笑いの中に溶かし込むチェ・デフンの演技は見事だ。プライドをへし折られた男が、不完全な力を手に不器用に誰かを守ろうとする――その姿がおかしくも切なく、気づけば応援せずにいられない。

 一方のロビンもまた然りだ。怪力という「壊すことしかできない力」を手に入れながら、それでも誰も傷つけたくないと葛藤する姿が愛おしい。ヴィランであるパルポ(ペ・ナラ)との「クンクンタ」対決が、殺伐とした超能力バトルではなく笑いを生み出し、ほっこりした癒やしの時間になるのは、ロビンというキャラクターの本質がそこに凝縮されているからだ。善と悪、笑いと緊張——対照的なふたりを対峙させながら、場面をコメディとして成立させるユ・インシク監督の演出の妙も、このシーンに凝縮されている。

 本作は、大ヒット作『ムービング』のようなハリウッドスケールの重厚な超能力大作とは一線を画す。世紀末の退廃的な空気や新興宗教が絡む陰謀というストーリーの骨組みは、韓国サスペンスとしては「よくある感じ」で、展開も王道だ。しかし、本作の魅力はストーリーの新奇さではなく、キャラクターたちの愛らしさと突き抜けた可笑しさにある。某・黒い生き物が大量出現するシーンや、思わず目を細めたくなるグロテスクな描写もちらほら顔を出すが、それすらもこの作品の「品よくまとめない」美学の一部なのかもしれない。世紀末の混沌を描くB級コメディとして、むしろ振り切れているほど潔いとも言えるだろう。苦手な方は少しだけ覚悟を決めて薄目でねとだけ申し添えておく。

 ペ・ナラ、チョン・イソ、チェ・ユンジが演じたヴィラン側の超能力者たちが抱える事情も切なく、非道な人体実験を主導してきたマッドサイエンティスト、ウォンド(ソン・ヒョンジュ)の静かな狂気の芝居も見事だ。悪役たちもまた、それぞれの「欠陥」と「完璧への渇望」を抱えている。誰もが何かに傷つき、何かを諦め、それでも生きている。その重なりが、この作品に奇妙な優しさをもたらしている。

 そしてこの物語は、ちゃんと温かく着地する。チェニがウンジョンの心を動かしていく数々のコミカルで愛おしいアプローチも、ドラマチックな感情のぶつかり合いも、重くならずにさらりと描かれるのが本作らしい。笑って、少しだけじんとして、またすぐ笑える。そのリズムこそが『ワンダーフールズ』の真骨頂であり、ラストにはシーズン2への期待も十分にかき立ててくれる。

 ユ・インシク監督が本作について「遊園地のアトラクションに乗ると、安全ベルトを締めて胸が高鳴る。立ち上がりたくない楽しさだ」と語った通り(※)、本作も気づけば作品のリズムに引き込まれ、最後まで見届けたくなる構造になっている。欠陥だらけのフールズたちが、それでも誰かのために全力で走り続ける。その不器用で愛おしい姿は、結局「誰もがどこか不完全で、それでも愛されうる存在なのだ」とそっと教えてくれる。

参照
※ https://www.mk.co.kr/jp/hot-issues/12044544

■配信情報
『ワンダーフールズ』
Netflixにて配信中
出演:パク・ウンビン、チャ・ウヌ、チェ・デフン、イム・ソンジェ
制作:ユ・インシク、ホ・ダジュン

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