『ボタニスト 植物を愛する少年』イラスト版ポスター公開 ビー・ガンらの推薦コメントも

『ボタニスト 植物を愛する少年』新ポスター

 5月15日に公開される中国映画『ボタニスト 植物を愛する少年』の新イラスト版ポスタービジュアルと各界著名人の推薦コメントが公開された。

 中国・新疆(しんきょう)の雄大な自然を舞台に、植物を愛する少年アルシンの内面の揺らぎと成長を描いた本作は、自然と人間の関係、記憶と時間、現実と幻想が静かに交差する詩的な物語。

 新疆の静かな村で祖母と暮らす少年アルシンは、植物を愛し、自然と語り合う日々を送っている。そんな彼は周囲から「植物学者(ボタニスト)」と呼ばれている。失踪した叔父の気配や言葉を話す馬など夢のような出来事に導かれながら、村の雑貨店を手伝う漢民族の少女メイユーとの出会いをきっかけに、彼の世界は少しずつ揺らぎ始める。

 監督を務めたのは、1994年、新疆ウイグル自治区生まれのジン・イー。本作が長編デビュー作となり、自身の幼少期の記憶自然、記憶、そして初恋を出発点に、マジカルリアリズムを織り交ぜた独自の映像世界を構築した。音楽は、アッバス・キアロスタミ、ジャファル・パナヒ、アスガー・ファルハディ作品などで知られるイランの作曲家ペイマン・ヤズダニアンが担当している。

 俳優陣には演技経験のない素人を起用。失踪した叔父から“ボタニスト”と呼ばれるほど植物を愛する少年アンスルを演じたイェスル・ジャセレは、「演技ではなく存在そのもの」と評され、北京国際映画祭にて最優秀男優賞を受賞した。また、『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』のビー・ガン、『薬の神じゃない!』のワン・ムーイェ、『青い凧』の田壮壮監督らがメンターとして参加。またプロデューサーのズオロン・シャンは、ビー・ガンとのプロジェクトやグー・シャオカン作品への関与でも知られ、本作においても若い才能を国際的に紹介する重要な役割を担った。

 公開された新ビジュアルは、テンペラ画のような柔らかなタッチで描かれている。イラストを手がけたのは、ミステリアスなアーティスト青藍(aoai)。主人公アルシンが植物を採取する劇中シーンをもとに描かれ、本作の詩的イメージを新たな視点から拡張した。

 あわせて、スタイリストの原由美子、ファッションデザイナーの丸山敬太、文筆家・エッセイストの甲斐みのり、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターでの市山尚三ら、映画、ファッション、アート、文筆など各分野の第一線で活躍する著名人から推薦コメントが到着。映画監督のビー・ガンは「シンプルでありながら豊かな初長編を完成させたジン・イーに、心から祝意を表します」とコメントを寄せている。

 さらに、本作の「植物と暮らす」というテーマのもと、日本有数のボタニカルブランドとのタイアップ企画の展開が決定。garage/Rust/noniでは、劇中の植物と向き合う少年の姿を日常に取り入れるアイテムとして制作されたリサイクルコットン使用のオリジナルトートバッグ「BOTANIST BAG」を販売。la brotoでは、映画の記憶や植物標本のイメージをもとにしたペーパーディフューザーとキーホルダーを、Tida Flower by TOKYO FANTASTIC(東京店舗)では、劇中の静寂と自然の美しさを表現したフラワー作品を販売。vandaka plantsからは、植物と共に生きるライフスタイルを提案するブランドとのコラボレーションTシャツが、BOTANISTからはサンタルリペアオイル処方の「BOTANISTサンタルリペアサシェ」が提供される。

コメント

ビー・ガン(映画監督)

ジン・イーの映画は、私が人生で初めて長編映画『凱里ブルース』を撮った当時のことを思い起こさせます。今日の中国には、ジン・イーと同じように、自分の初長編を完成させるため全力を尽くしている若者たちが数多くいます。ジン・イーもまた彼らと同様に、映画における根源的な主題――すなわち自己と、自らを育んだ土地との関係――に向き合っています。映画に登場する「アルシン」と「メイユー」は、単なる登場人物ではなく、彼自身の表現の座標軸ともいえる存在であり、記憶を宿しながらもどこか距離感を帯びたその顔立ちによって、次第に作品の真の主人公が浮かび上がってきます。それはつまり、漢民族として長く暮らしてきた多民族地域・新疆という土地において、現代と伝統の時間的距離、内陸と沿海の空間的距離、そして現実と夢幻のあいだの精神的距離そのものです。シンプルでありながら豊かな初長編を完成させたジン・イーに、心から祝意を表します。

原由美子(スタイリスト)

都会ではない夜空の少しかけた月を見ながら、
いつの間にか静かな水の流れの自然な音に耳をすませていた。
花や緑や水が、これみよがしでなく、
むしろ控えめに程よく格好つけて画面に現れる。
どこの国か考える間も無く少年と少女に目が釘付けに。
少年の残り毛糸で編んだようなのに微妙にセンス良く可愛いベストに心ひかれ、
少女の佇まいも忘れ難い。
そして何より少年が手掛けた紙質までもが気になる、
作りの丁寧な植物標本ノートを是非じっくり見たいというのが今の私の願いだ。
先のわからない不安の中で、改めて手付かずの自然のもつ美しさと強さに向き合った気がする。

丸山敬太(ファッションデザイナー)

深い森の匂い、木漏れ日、清い水のせせらぎ、夜の闇と鳥や羊たちの声、、、都会へ旅立つ初恋の少女。すべてがゆっくりと流れゆく。
豊潤な自然の風景が、カメラワークと,まるでセリフのごとく語る、美しい音楽に彩られ、子供の頃厚い辞書にはさんで押し花をつくったあの時間を愛おしく想い出した。

中西なちお(トラネコボンボン主宰・旅する料理人)

植物を通して世界を見る少年の静かな眼差し、少女との愛らしい時間。
詩を読む馬、廃校に描く植物画、かつて海だった草原での日光浴、すっぱそうな白いおやつ。カザフ族の風習、刺繍、菩提樹の押し葉、アザミの棘、自分の顔の魚拓みたいなの。彼の孤独が、全ての美しさを際立たせていく。
こんな男子に子供の頃に出会ったら恋に落ちるよ。

甲斐みのり(文筆家・エッセイスト)

風や光を受けて芽生え、伸びて揺らぎ、いつしか枯れて、土に還る植物。誰かに名を知られずとも、いつかとどこかへ静かに繋がる。少年・アルシンの心の揺らぎは、彼が愛する植物のように、土地や時や文化を越えて、美しい生のきらめきを、やるせなさを、私たちの胸に確かに届ける。 

芝田美智子(ボタニカルアーテイスト)

誰の側にも存在する植物も、それを深く愛する人にしか見えない景色や、感じ取れない世界があるのではないでしょうか。
うつろいゆく、大切なものを留めておきたいという想いが、植物を丁寧に描き、美しく押し花として残す行為と重なり、せつない余韻を残します。
心を通わせた少女との出会いと別れを経て、少年は変わらず寄り添ってくれる自然の中で、自分を癒し、守り、少しづつ成長していくのでしょう。
映像と音楽の美しさが心をやさしく包み込む作品でした。

HIKARU SEINO(フラワーアーティスト)

少年アルシンが植物の観察を通して人生への向き合い方を模索する。
「僕らもアザミのように強くなるべきだ。しかし僕は彼女をトゲで刺したくない」と言うセリフが印象的。自然と人間の真の関係を詩的に映し出し、見る人の心に静かに問いかける感動作。

市山尚三(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)

新疆の美しい風景の中でピュアなドラマが展開される中、不意に訪れるファンタジックな瞬間が素晴らしい。これまでの中国映画では見たことがなかった驚くべき才能の登場だ。

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■公開情報
『ボタニスト 植物を愛する少年』
5月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国公開
監督・脚本・編集:ジン・イー
撮影:リー・ヴァノン
音楽:ペイマン・ヤズダニアン
プロデューサー:ズオロン・シャン
出演:イェスル・ジャセレフ、レン・ズーハン
配給:リアリーライクフィルムズ
原題:植物学家/英題:The Bitanist/2025年/中国映画/カザフ語・中国語/96分/アスペクト比4:3/5.1ch/DCP&Blu-ray/日本語字幕翻訳:長夏実/DCP制作:スノビッシュ・プロダクツ/予告編制作:MAGNIFY
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公式サイト:www.reallylikefilms/botanist
公式X(旧Twitter):@botanistmovie

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