『お別れホスピタル2』は孤独と救済に溢れていた 安達奈緒子脚本作に共通する“共に生きる”

『お別れホスピタル』が描いた孤独と救済

執着の果ての孤独と、「対話」がもたらす救い

 「日々、風の中のろうそくみたいな命と向き合っている」その場所、「あなたが欲しい」が鳴りやまないその場所は、患者やその周囲の人々の様々な「執着」で溢れている。

 執着のその先で人は、どうにもならない現実を突きつけられる。死は彼らを待ってはくれない。孤独な桜田の前に秋山が現れることは二度とないし、死の間際に見る夢の中でさえ、秋山は何も言わず桜田を見つめているだけだ。それでも、ずっと言いたかった「ごめんなさい」と「ありがとう」を口にすることで、桜田は静かに亡くなった。

 執着のその先で、人はたった1人で自分自身の人生と、あるいは完全には分かり合うことができない他者の思いと向き合うしかない。本作はそんな事実を突きつけながらも、それでも誰かと対話することが救いになり得ることを告げるのだ。桜田と、彼女のファンだった医師・谷山(国広富之)や辺見との会話を通して。あるいは、赤根と大戸屋の絵を介した対話を通して。これが最期と知って、愛する妻への一生分の思いを込めた三郎の言葉も、まさに濃密な「対話」だった。

 そして何より、「1人が好き」な広野と辺見が、患者たちとの関わりを通してやり場のない思いを抱えた時に、何かを食べたり飲んだりしながら話をする時間を互いに必要としていること。そんな2人の関係性が見ていてなんとも心地良いのは、安達奈緒子脚本作品に共通する「共に生きる」登場人物たちの理想的な佇まいだからだろうか。

 「あなたと話したい」という言葉と共に、本作は終わった。「最後は1人」で死と向き合わなければならない人々の過酷な戦いを日々目の当たりにしているからこそ、辺見は「あなたと話したい」と願うのだ。「命は一つしかない」から、「あなた」を通して「私」を見つめたい。「私」を通して「あなた」を見つめたい。そしてそれこそが「生きる」ことなのだと、『お別れホスピタル2』は教えてくれたような気がした。

■配信情報
土曜ドラマ『お別れホスピタル2』
NHK ONE(新NHKプラス)にて見逃し配信中
出演:岸井ゆきの、松山ケンイチ、内田慈、仙道敦子、国広富之、円井わん、長村航希、山本裕子、きたろう、根岸季衣、田村泰二郎、麻生祐未、小野花梨、丈太郎、伊東四朗、渡辺えり、YOU、広岡由里子、阿川佐和子、柄本明
原作:沖田×華
脚本:安達奈緒子
音楽:清水靖晃
演出:柴田岳志
制作統括:小松昌代(NHKエンタープライズ)、谷口卓敬(NHK)
写真提供=NHK

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