八木莉可子の最大の魅力は“主人公力”にあり 『森英恵』で増やす新たな引き出し

人生のなかで一度は、「雰囲気がある人」と褒められてみたいものである。わたしが、雰囲気がある人だと思うのは、ちょっぴりミステリアスだったり、その場にいるだけで自然と周囲の目を惹きつける独特なオーラを持っていたり……。そう、八木莉可子のような人だ。
近年、話題作への出演が続く彼女は、画面に映ると強烈なインパクトを放つ。それも、派手に主張をしたりするわけではない。ふとした表情やたたずまいだけで視線を引き寄せ、気づけばシーンの中心にいる。そんな“主人公力”こそが、彼女の最大の魅力なのである。
八木の演技を初めてじっくり観たのは、2022年に大ヒットしたドラマ『First Love 初恋』(Netflix)だった。八木が演じていたのは、タクシードライバーとして働く野口也英(満島ひかり)の少女期。つい、並木晴道(木戸大聖)が醸し出す“アオハル感”に目を奪われがちだったが、個人的には晴道のあのまっすぐな輝きは、八木が演じる也英の浮世離れした主人公力があったからこそ、際立っていたように思う。
也英は、決して明るいわけじゃない。それなのに、目を覆いたくなるほどのまぶしさを放っていたのだ。“影”を背負いながら、こんなにも“光”を体現できる人がいるのか……と衝撃を受けたのを覚えている。
その翌年に八木は、連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)で、ヒロイン・舞(福原遥)の恋敵(?)である史子を演じた。番組の始めから、舞と貴司(赤楚衛二)の絆を追いかけてきた視聴者にとって、史子は正直“邪魔”な存在だった。貴司の短歌に救われた孤独な歌人の卵……と、ここまではいいのだが、勝手に貴司の“奥様ヅラ”をしたり、短歌の知識で舞にマウントを取ったりしてくるのだ。彼女が現れてから、わたしは何度「むむむっ!」と思ったことか。
しかし、八木の演技の凄みは、それが“計算”なのか“天然”なのか、視聴者に読ませないところにある。どちらとも断言できないからこそ、わたしたち視聴者はついつい史子に引き込まれてしまったのだと思う。番組終盤では、史子は舞と貴司の関係を発展させる上でのキーマンだったということが明らかになるのだが、そこに至るまでにしっかりと“嫌われる役”をまっとうしてみせたところに、思わず拍手を送りたくなった。





















