玉木宏の鶴見中尉はなぜ強い? 本人の身体性がにじむ『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』

『金カム』玉木宏の鶴見中尉はなぜ強い?

 今回もまた、玉木宏が恐ろしいほどにキレキレである。

 これはもちろん、公開中の映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』での彼の演技のこと。2024年にはじまった『ゴールデンカムイ』シリーズにおける玉木のパフォーマンスは、登場を重ねるほどに極まり、多くの観客を驚かせてきた。彼が体現する『ゴールデンカムイ“鶴見中尉”との再会を果たすためにこそ、劇場へと足を運んでいる観客もいるのではないだろうか。

『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』©野田サトル/集英社 ©2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

 この『ゴールデンカムイ』とは、明治末期の北海道を舞台に、アイヌの金塊をめぐる争奪戦を描くもの。今回の『網走監獄襲撃編』はタイトルから分かるとおり、「網走監獄」をおもな舞台とした活劇が繰り広げられていく。主人公・杉元佐一(山﨑賢人)らが監獄を襲撃して狙うのは、金塊の秘密を知る「のっぺら坊」の存在。ここでライバルとして立ちはだかるのが、鶴見中尉が率いる第七師団の面々である。

 玉木が立ち上げてみせた鶴見中尉は、そのすべてが強烈なキャラクターだ。負傷した前頭部にプロテクターを装着したビジュアルももちろんだが、思想も、発する言葉も、一つひとつの振る舞いも、それらすべてが私たちの想像を超えてくる。マンガやアニメなどの二次元作品ではいくらでも表現できるだろうが、実写となればそうもいかない。しかし玉木はこれを“再現”にとどめないばかりか、血の通った人物にまでしてみせた。鶴見中尉はあくまでもフィクション作品の登場人物だが、実際に歴史上に存在していたかのようにさえ思えてくるものだ(これはさすがに言い過ぎか……)。

『プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮』©︎フジテレビ

 声の抑揚や強弱というのは多くの場合、俳優が演じるうえでコントロールするものだ。展開するシーンに合わせて、鶴見中尉の心身の状態に合わせて、玉木もまたコントロールしているのだろう。興奮したときの鶴見中尉が垣間見せる狂気だって、そのニヤリとした表情や声音で表現しているものであるはずだ。現在は主演ドラマ『プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮』(フジテレビ系)も放送中の玉木の、演技者としての経験値の高さからすべては生まれている。

 それにしてもなぜこうも、鶴見中尉は強いのだろうか。ここで指している「強さ」とは、『ゴールデンカムイ』の世界における彼の戦闘能力のことではない。この実写シリーズにおける、彼の存在の強度のことだ。つまり、“鶴見中尉=玉木宏”の強さのことである。

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