『DREAM STAGE』はNAZEへの“贈る言葉” 高橋Pが最終回に込めたラスト9分37秒の熱狂

『DREAM STAGE』高橋Pからの“贈る言葉”

 ドラマの最終回で描かれるステージが、現実の未来を先取りしていたとしたらーー。

 中村倫也主演の金曜ドラマ『DREAM STAGE』(TBS系)。3月13日に放送される最終回では、ついにNAZEが国立のステージに立つ。その光景は、彼らが5月に世界デビューした“未来の風景”に繋がっている。

 NAZEがこの先、世界的アーティストへと羽ばたいていくのだとすれば、この夜のライブは後に世界中のファンが「すべての始まり」として振り返る場面になるだろう。その瞬間をリアルタイムで目撃できるのは、今夜の放送だけだ。

 「ラスト9分37秒のライブシーンだけでも観てほしい」

 そう語るのは、本作の企画プロデュースを務めた高橋正尚だ。約3年にわたり日本と韓国を行き来しながら進められてきたプロジェクトの舞台裏、そして最終回に込めた思いについて話を聞いた。

3年越しの挑戦、吾妻とリンクしたプロデューサーの葛藤

――いよいよ最終回ですね。今、一番強く感じていることは何ですか?

高橋正尚(以下、高橋):とにかく、一人でも多くの人にこのドラマが届いてほしい。そればかりを考えてきた日々でした。今作は、日本のTBSと韓国のエンターテインメント企業CJ ENM Japan、そして韓国芸能事務所C9エンターテインメントがタッグを組み、ドラマから世界へ羽ばたくアーティストを生み出す、約3年越しのプロジェクト。気づけばその中心に立っていた僕の心境は、ナム(ハ・ヨンス)に引き込まれていく吾妻(中村倫也)と重なる部分が多かったですね(笑)。何度も韓国に足を運び、練習生たちがふるい落とされていく姿も目の当たりにしてきました。厳しいレッスンや審査のなかでも「いつかスターになる」という彼らのまっすぐな熱意があった。寝る間も惜しんで努力する姿を目の当たりにしました。だからこそ僕も、死ぬ気で“夢の舞台”となるドラマを用意しなければいけないと思ったんです。とはいえ、当時はまだメンバーのキャラクターを把握するどころか、人数すら決まっていなかった。物語をどこから始めればいいのかもわからない。吾妻さながら「どうすりゃいいんだ」と頭を抱える瞬間も少なくありませんでした。

――劇中では、吾妻が粘土に触れながら作戦を考えるシーンが印象的でした。

高橋:あれは僕自身が企画を考えるときの癖で(笑)。パソコンに向かってキーを打つだけよりも、何か手を動かしている方が頭が柔らかくなる気がするんです。知恵の輪など他のアイテムも候補に挙がったのですが、最終的には粘土にしました。そして、粘土だからこそ成立する展開を最終回に用意しています。ぜひそこも見届けていただきたいですね。

――近年は高市首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」というフレーズが話題になるなど、“熱量”そのものへの支持が再び集まっている印象もあります。本作の「スポ根」的な世界観は、そうした時代の空気を意識したものだったのでしょうか。

高橋:いえ、それは偶然でした。とはいえ、ドラマを作っていると、何年も前に企画立案したはずなのに、不思議とオンエア時に似たような現象が起きたりするんですよね。本当に不思議です。僕が意識していたのは、世界で最も受け入れられている、少年漫画の世界観です。いわゆる『週刊少年ジャンプ』の「努力・友情・勝利」という王道で普遍的なストーリーですね。忖度することも、権力に屈することもなく、泥臭く努力した才能が黒い影を振り払い、最高のステージに立つ。そうしたストレートな物語のほうが、一週間がんばった金曜の夜に、リラックスして見ていただけけるんじゃないかと考えていました。

最終回に明かされる吾妻の思いに乗せたNAZEへの「贈る言葉」

――高橋プロデューサーご自身の「夢」の原点はありますか?

高橋:中学3年生のときに観たドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)です。素人ながら、ドラマ内の音楽の使い方の斬新さに「カッコイイ!」と衝撃を受けて。「ドラマを作る人になりたい」と思いました。ただ当時は田舎に住んでいたこともあって、「そんなことできるわけがない」「お前には大きすぎる夢だ」と周囲から言われ続けました。親からも「公務員になって安定した道を歩みなさい」と。当時はもちろん「今に見とれ」と思ったわけですが……今、自分が親になってみると、誰もがなれるわけではない夢を追うことのリスクも確かにありますよね(笑)。手放しで応援できない“親心”も、非常に理解できます。吾妻が言う「叶わない夢のために、若さを無駄にするな」という言葉も、ユンギの父・シニャン(チェ・ジノ)が実はライブに駆けつけているという描写も、きっと多くの大人の方々には本音としてご理解いただけるんじゃないかと思います。

でも、夢がない人生というのも、やっぱりもったいないんじゃないかと。言うは易しですが、若い頃はできるだけ自分の限界を決めずに挑戦してもらいたいですし。日々の生活に追われて余裕がなくなっている大人の方にも、僕自身への反省も込めて、何か目標や希望を持っていられたらいいなと。だからこのドラマでは、若い人たちが夢を追いかけて壁を突破するくらいの勇気を持ってもらいたいという思いと同時に、大人の方々にも、夢や生きがいを持っていただけたらと思って企画しました。

――吾妻自身もNAZEと出会うことで生きがいを見つけましたね。第8話では、NAZEを守るために姿を消すという苦しい展開が描かれました。なかでも、ゴンが吾妻の意図を汲み取って号泣するシーンが印象的でした。

高橋:NAZEのメンバーはこのドラマに実名で登場していて、キャラクターも本人に寄せている部分はあるんですが、ゴンくんの役柄は一番本人と遠いかもしれませんね。あんなに喧嘩っ早い子ではないので(笑)。でも一話のメインをお任せしたのも、彼は演技の勘がいいと直感したからなんです。まだソウルにいる頃にお芝居の稽古に立ち会った時にも、「この子は本当に芝居が好きなんだな」というのが伝わってきました。メンバー一人ひとりを見ていて、驚くほど成長した部分もありますし、これからに期待している部分もたくさんあります。最終回では、吾妻が“ある形”で残していたメンバーへの想いが明らかになるんですが、あれはプロデューサーとして彼らの可能性を信じ続けてきた僕からの“贈る言葉”でもあるんです。

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