『純愛上等!』『人間標本』『黒崎さん』 M!LK 山中柔太朗、俳優として劇的な“進化”

山中の澄んだ美しさは、時として作品によって「影」や「歪さ」へと姿を変えることがある。映画『人間標本』では、標本の犠牲となった美少年・赤羽輝を演じた。まっすぐな瞳で「人の心に華やかな光を照らす絵を描きたいんです」と語る赤羽は、無垢でありながら、どこか神秘的な美しさを纏っている。

ところが物語は、残酷にも「少年たちが殺される前提」で進んでいく。
劇中には、赤羽が華麗に踊るシーンも登場する。躍動感あふれるダンスの中で際立つのは、赤羽の細く長い手足のしなやかな動きだ。その美しさは、まるでひとつの芸術が生まれる瞬間を目撃しているかのようだ。また、踊りの最中にふと浮かぶ赤羽の儚げな表情には、自らの運命をどこか悟っているかのような憂いが滲んでおり、より切なくなった。
ドラマ『黒崎さんの一途な愛がとまらない』では、おにぎり屋「しらせ」の娘・白瀬小春(豊嶋花)に恋をする黒崎絢人を演じた。当初の黒崎は抑揚のない声で、ぎこちなく思いを伝える不器用な青年だった。しかしその裏には、仕事のスランプで何も食べられなくなっていた時期に、明るく接客してくれた小春に救われ、恋心を抱いたという背景がある。やがて戸惑いながらも、嘘がつけず真っ直ぐな黒崎の姿に、小春の心も少しずつ揺れ始める。
小春が自分の気持ちを表情や言葉で伝え始めるにつれ、黒崎の瞳には少しずつ光が宿り、穏やかな笑みが零れ始めるようになる。その変化の過程を、山中は自然体の演技で丁寧に描き出していた。
映画『純愛上等!』のクライマックスでは、美鶴が円への溢れる想いを告白するシーンも登場する。しかしその告白は、実に切なく、そして美鶴に恋焦がれる円にとってはあまりに残酷なものだった。
美鶴の言葉を受け、円は頭が真っ白になり、呆然としたまま「会わなければよかった」とこぼし、涙をぽろりとこぼす。そんな円の前に、優しく涙をぬぐう美鶴の「幻想」が現れる。白く滑らかで細い美鶴の指が円の頬に触れ、涙をそっと拭うその瞬間は、あまりにも神秘的で、その美しさに思わずぞくりとした。
ずっと隣にいて、当たり前のように「これからも近くで過ごせる」と信じていた相手が、ある日突然いなくなってしまったら、人は一体どれほどの絶望を抱えるのだろうか。「お互いを深く想っているからこそ、傍にいられない」という矛盾を抱えた2人の姿はあまりにも切なく、気づけば涙が止まらなかった。

そして、この別れがより胸に迫ったのは、美鶴が円のもとを離れる前から、ずっと自分より円のことを思い続けていたからかもしれない。そのいじらしさに触れるたび、言葉にならない切なさが込み上げていたからこそ、美鶴の辛い告白と、快活だった円が放心状態になる様子を見て、思わず胸の奥がキュッと苦しくなった。
離れることを選んだ美鶴と円は、このまま疎遠になってしまうのか。それとも、もう一度笑い合える日が訪れるのか。






















