『閃光のハサウェイ』上田麗奈が実現したギギの二重性 ハサウェイの“仮面”を暴く存在か

そして、主人公のハサウェイも複雑な内面を抱えている。
地球連邦軍の軍人、ブライト・ノアの息子として表向きは優等生的に振る舞うハサウェイだが、一方で「マフティー」というテロ組織を束ねており、仲間たちの前ではカリスマ的なリーダーを演じている。

だが実際の彼は、若いときに好きだったクエス・パラヤという少女を戦争で死なせてしまったことがトラウマとなっており、クエスの幻覚を見るくらい心を病んでいる。
ハサウェイとクエスの悲劇は、アニメ映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下、『逆襲のシャア』)で描かれたエピソードで、『閃光のハサウェイ』はその後のハサウェイの物語となっている。
『逆襲のシャア』は『ファーストガンダム』の主人公だったアムロ・レイと宿敵のシャア・アズナブルの決着を描いた物語で、宇宙世紀を舞台にした『ガンダム』シリーズの完結編として1988年に劇場公開された。ハサウェイとクエスは、アムロとシャアに憧れを抱く少年少女で「ガンダム」を観ている若い視聴者の分身といえる存在だった。

当時、自分はまだ小学生で『逆襲のシャア』の物語は難解すぎて理解できなかったが、あれから30年以上が立ち、かつて子どもだったハサウェイが青年になって心を病みながらテロ組織を束ねている姿を観ると、胸が苦しくなる。
映画館には自分と同じ中年男性が大勢押し寄せており、かつての自分を見るような目でハサウェイのことを見守っていた。

『キルケーの魔女』では仮面を被って生きていたハサウェイとギギが最後に再会し、ギギが突然、ハサウェイにキスをする。そして、最後にハサウェイが乗っていたクスィーガンダムの顔の部分が割れて、本当の顔らしきものが少しだけ見えた後、次作に続くかたちとなった。
これは原作小説にはない展開だったため、完結編は原作の物語をなぞりながらも何らかの形でハサウェイが救われる結末となるのではないかと感じた。
果たしてハサウェイとギギ、そして『閃光のハサウェイ』というアニメ映画は、「ガンダム」という仮面を破壊することができるのだろうか? そして仮面を壊した後に出てくる本当の顔をかつてハサウェイだった私たち観客は、どのような気持ちで見守ることになるのだろうか?
第3部の公開が楽しみである。
■公開情報
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
全国公開中
キャスト:小野賢章(ハサウェイ・ノア役)、上田麗奈(ギギ・アンダルシア役)、諏訪部順一(ケネス・スレッグ役)、斉藤壮馬(レーン・エイム役)
原作:富野由悠季、矢立肇
監督:村瀬修功
脚本:むとうやすゆき
キャラクターデザイン:pablo uchida、恩田尚之、工原しげき
キャラクターデザイン原案:美樹本晴彦
メカニカルデザイン:カトキハジメ、山根公利、中谷誠一、玄馬宣彦
メカニカルデザイン原案:森木靖泰、藤田一己
美術設定:岡田有章
美術監督:大久保錦一
色彩設計:すずきたかこ、久保木裕一
ディスプレイデザイン:佐山善則
CGディレクター:増尾隆幸
撮影監督:大山佳久
特技監督:上遠野学
編集:今井大介
音響演出:笠松広司
録音演出:木村絵理子
音楽:澤野弘之
企画・制作:サンライズ
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス/松竹
©創通・サンライズ
公式サイト:https://gundam-official.com/
公式X(旧Twitter):https://x.com/gundam_hathaway




















