アニメ版『花ざかりの君たちへ』が良すぎる 振り返りたくなるドラマ版と平成の“キュン”

ご都合主義、ファンタジー満載の少女漫画展開がいま楽しい
正直、アニメ版『花君』は単純に観ていて“楽しい”。疲れた時でも観られるし、なにより色彩設計や演出を現代的にブラッシュアップしながら、あの平成初期特有のツッコミどころ満載の展開や“ご都合主義”を成立させているバランス感が見事である。

正直、冷静に考えれば、女子が男子校に潜り込んでバレないなんてことはありえない。セキュリティもコンプライアンスもプライバシーも、現代の感覚からすればツッコミどころのオンパレード。いわゆる「ご都合主義」の極みである。
ここ数年のドラマやアニメのトレンドは「考察」や「リアリティ」、あるいは「社会的な正しさ」だったように感じる。恋愛ジャンルの作品も現実的な設定や内容のものばかりが増えたように感じ、つい自分の生きる日常の地続きにある世界として捉えてしまいがちになってしまった。そして、そういった作品では登場人物の倫理観が作品と共に厳しく問われる。もちろん、その視点を持つことも大切であることは百二十も承知の上で、時折フィクションにおいて「これは現実に即しているか?」「ポリコレ的に正しいか?」と無意識にジャッジしてしまうことに疲れてしまった。
そんななか、『花君』世界はあまりに無防備だ。アニメーションで描かれることで、実写以上にフィクションとして捉えやすくなっている点も手助けしているが、「好きだから会いに行く」「男装して男子校に入る」という突拍子もない行動原理が、誰にも咎められず、むしろ物語を動かすエンジンになっている。そこに、息苦しさにさえ感じるような整合性はない。その代わり、「理屈よりも情熱が優先される」というエネルギーがある。YOASOBIが手がけるオープニング曲「アドレナ」がまさに体現するような、“アドレナリン”を感じるのだ。
『花ざかりの君たちへ』が改めて面白いのは、めちゃくちゃだった平成という時代を懐かしむ以上に、過剰なリアリティと正しさを求められる時代において、「細かいことはいいから、とにかく幸せになろうぜ」と背中を叩いてくれる、底抜けに明るい“ファンタジー”の力強さに救われるからだ。「そんなことあるわけないじゃん」と思わず笑ってしまいそうな平成の“キュン”が、物語の中で傍若無人に恋をする彼らのエネルギーが、いまは欲しい。
■放送情報
『花ざかりの君たちへ』
TOKYO MXにて、毎週日曜21:30〜放送
BS11にて、毎週日曜22:30〜放送
MBSにて、毎週日曜25:20~放送
CBCテレビにて、毎週日曜26:06~放送
RKB毎日放送にて、毎週火曜26:30~放送
キャスト:山根綺、八代拓、戸谷菊之介、梅原裕一郎、福山潤、川島零士、内山昂輝、駒田航、古屋亜南、西山宏太朗、日野聡、夏吉ゆうこ
原作:中条比紗也『花ざかりの君たちへ』(白泉社・花とゆめコミックス)
監督:竹村菜月
監督補佐:うえだしげる
シリーズ構成:吉岡たかを
キャラクターデザイン:蘇詩宜
プロップデザイン:原由知
色彩設計:伴夏代
CG監督:西牟田祐禎
美術監督:市倉敬
撮影監督:魚山真志
編集:柴田香澄
音楽:横山克
音響監督:明田川仁
アニメーション制作:シグナル・エムディ
オープニングテーマ:「アドレナ」YOASOBI(Echoes/Sony Music Entertainment (Japan) Inc.)
エンディングテーマ:「BABY」YOASOBI(Echoes/Sony Music Entertainment (Japan) Inc.)
©︎中条比紗也・白泉社/「花ざかりの君たちへ」アニメ製作委員会
公式サイト:https://hanakimi-anime.com/






















