鳴海唯、出演作が途切れない中で考えていること 「“仕事を楽しむ”ことを忘れたくない」

俳優としての思いと弁護士としての思いがリンク
――本作のテーマにも通じる“正義”について、演じながら感じる葛藤はありますか?
鳴海:弁護士には「誠実義務(依頼人の利益を守る)」と「真実義務(真実をねじ曲げてはいけない)」という2つの側面があります。絶対に依頼人の味方でなければいけないけれど、真実をねじ曲げてはいけない。そのバランス、あるいは「正義とは何か」という問いに、きっと本職の弁護士さんも悩み続けているのだと思います。私も演じながら、「正しいことをしなければいけない、でも依頼人を救いたい」という矛盾に何度も直面しました。また、法廷シーンの前日は緊張してあまり眠れないんです。もちろん膨大なセリフ量へのプレッシャーもありますが、依頼人役のキャストの皆さんもいろんな気持ちを抱えて臨まれています。そんな皆さんへのリスペクトと、「俳優としてお芝居に誠実に向き合いたい」という私の気持ちが、小野崎の「依頼人を救いたい」という気持ちとリンクする瞬間が何度もありました。そこは嘘なく演じられている気がします。
――この作品を経て、ニュースなどの見方も変わりましたか?
鳴海:そうですね。ネットニュースでもサイバー犯罪の話題などに目が止まるようになりました。以前はなんとなく読み流していた「執行猶予」や裁判の進み具合といった言葉の意味が、今は解像度高く理解できるので、「この事件は今ここまで進んでいるんだな」と、社会の出来事をより身近に感じるきっかけになっています。

――主演の松山ケンイチさんとは、今回が本格的な初共演となります。
鳴海:大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)でワンシーンだけご一緒しましたが、ここまでがっつりご一緒するのは初めてです。物心ついた時から拝見していた大先輩なので最初は緊張していましたが、松山さんはすごくフランクに接してくださって。現場でわからないことがあったらすぐに質問できるような、フラットな状況を常に作ってくださるので感謝しています。
松山ケンイチが向き合う実体のない“普通” 多彩な役作りは「別角度から常識を意識する」
NHKドラマ『宙わたる教室』の制作スタッフが贈るドラマ10『テミスの不確かな法廷』が1月6日より放送中。本作は、“普通”とは何か…――現場ではどのようなコミュニケーションをとられていますか?
鳴海:お芝居の話よりも、全然違う話をたくさんしています(笑)。松山さんは健康に詳しくて、「風邪をひかないように鼻うがいがいいよ」とか「ご飯を食べる前にこれを飲むと眠くなりにくいよ」といった健康グッズやサプリを教えてもらっています。私自身が自分の体に無頓着なので、すごく助かっています。

――お芝居の面で刺激を受けたことは?
鳴海:松山さんは、私が想像していなかったような「変化球」のお芝居を投げかけてくださるんです。「そう来たら、こうしよう」と私が事前に考えていたプランが崩されるのですが、それによって予定調和ではない、すごくリアルなシーンが生まれます。毎回ワクワクしながらご一緒させていただいています。
――特に印象に残っているシーンはありますか?
鳴海:第1話で、安堂さんがナポリタンを食べるシーンですね。松山さんが席を行ったり来たりしながら食べる動きは、松山さんご自身のアイデアで生まれたものでした。やっていてすごく楽しかったですし、作品のテンポがグッと上がるシーンになったと思います。
――最後に、2026年はどんな1年にしたいですか?
鳴海:スタンスは変えずに、一つひとつの作品に誠実に向き合っていきたいです。その上で、「自分が仕事を楽しむ」ということを忘れたくないですね。自分の心がワクワクする作品に出られたらいいなと思いますし、その思いがきっと作品を良くすることにも繋がると思うので。2026年も止まることなくやっていけたらいいなと思っています。
■放送情報
ドラマ10『テミスの不確かな法廷』
NHK総合にて、毎週火曜22:00~22:45放送(全8回)
※毎週金曜24:35〜25:20再放送
NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信予定
出演:松山ケンイチ、鳴海唯、恒松祐里、山崎樹範、山田真歩、葉山奨之、市川実日子、和久井映見、遠藤憲一 ほか
第3話ゲスト:伊東蒼
原作:直島翔『テミスの不確かな法廷』
脚本:浜田秀哉
音楽:jizue
演出:吉川久岳(ランプ)、山下和徳、相良健一、富澤昭文
制作統括:橋立聖史(ランプ)、神林伸太郎(NHKエンタープライズ)、渡辺悟(NHK)
写真提供=NHK
























