『ばけばけ』小泉八雲も西洋料理を食べていた? 柄本時生&大西信満のキャラ造形秘話も

『ばけばけ』制作陣の遊び心

「まだ物語のプロットすら書いていない時期に、脚本のふじき(みつ彦)さんといろんなディスカッションをしていて。松江にも昔忍者がいたという話があったので、『忍者とかが出てきたら楽しいんじゃない?』と雑談をしていたんです(笑)。『「不器用ですから(ですけん)」とか言ったら面白いよね』とも話していて、その時につけたキャラクター名が剣造でした」

 結局、忍者のキャラクターは採用されなかったが、後に車夫が登場することになり、ふじきが“永見剣造”と名付けてきたそう。橋爪は「『復活しましたね』なんて言いながら(笑)。内容にまったく関わりはないんですが、永見はそんな話をしながら作ったキャラクターです」と制作陣の遊び心を覗かせる。

 一方で、車夫という職業については「当時は没落士族がつくことが多い仕事だったんです。車夫は体力仕事ですが、それなりに稼ぐことができるので」と時代背景を語り、武士を重んじるヘブンが没落士族の車夫を雇うのは自然な展開ではないかと話す。

「司之介(岡部たかし)は牛乳配達を選びましたが、彼のアナザーストーリーでこういうこともあったのかもしれない。松江の没落士族の人たちがいろいろな生き方をしているという一端が見えたらいいなと思っています」

 永見を演じるのは、映画『赤目四十八瀧心中未遂』『キャタピラー』で注目を集め、2024年には映画『痴人の愛』に主演した大西信満。

 橋爪は「正直言うと役不足かもしれないほどの役ですが、僕が新人の頃、地方局で最初に作ったドラマに大西さんに出ていただいて。その時から関係が続いていて、『またどこかでご一緒しましょう』と話していたんです。今回お声がけしたら『橋爪さんが言うなら』と快く出演していただけて、本当にありがたかったです」と、念願の再タッグを振り返る。

 大西の演技について、橋爪は「人物がリアルに“生きている”という感じがしますよね」と唸り、「“なんちゃって不器用”ではなくて、自分を本気で不器用だと思うことができる。そんな芝居ができる方をキャスティングできたらいいなと思って、大西さんにお願いしました」とあらためて起用の意図を明かす。

「自分の頬を叩くシーンでは、本気で自分のことを叩くんです。それを見て、やっぱりすごい方だなと。役に成りきるということを映画畑でバリバリやられてきた方なので、そんな大西さんがここ(『ばけばけ』の世界)に入ることも素敵だなと思いましたし、とっても良く合っている。素晴らしい方に演じていただけてよかったなと思っています」

 なお、「不器用ですから」というセリフには高倉健氏のイメージが強いが、キャラクターを作る上で「そこを意識したことはない」とも。「不器用な没落士族を、わかりやすく描いているということですね。器用な人は『不器用です』とは言わないので、やはりそういった表現にたどり着くんです」と話した。

 又聞きの又聞きで作られた西洋料理、没落士族の車夫。明治の松江を立体的に描く『ばけばけ』に引き続き注目したい。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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