『ばけばけ』は着物の細部までこだわり抜く 髙石あかりが“キレイになれる!”と喜んだ理由

『ばけばけ』は着物の細部までこだわり抜く

 髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が現在放送中。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

 第15週、夫婦となったトキ(髙石あかり)、ヘブン(トミー・バストウ)が引っ越したのは、広々とした武家屋敷。制作統括の橋爪國臣は「気合が入っているので、ぜひしっかりと観てほしい」と、丁寧に作り込んだセットに自信を見せる。

「小泉八雲の旧居が松江に残っていて、今でも入館料を払えば見られる場所になっています。今回は美術スタッフが中を採寸させてもらい、(八雲のひ孫にあたる)小泉凡さんから図面などもいただきました。もちろん、セットなのでスタジオの大きさに限界があったりといろんな制約はありますが、できる限り忠実な再現を心がけました」

 小泉八雲旧居はまだすべての整備が完了しておらず、家全体は一般公開されていない。西側の一部のみ入ることができる状況だが、セットの制作にあたり、通常は立ち入ることのできない台所や風呂場といった裏側までも特別に見学が実現した。

 小泉凡氏からも「本当にそっくりですね」とお墨付きをもらったそうで、橋爪は「実際の旧居を見てからセットに移ると、同じ場所にいるように感じられると思います。ぜひドラマを観ていただいて、2人がこんなところに住んでいたんだなと感じてもらえたら」と思いを込めた。

 庭の美しい植物たちにも目が行くが、植生や設えは旧居に近いものを採用。なかでも、シンボルツリーともいえるサルスベリには、こだわりが詰まっている。

「居間側(南側)にはお庭があるんですが、そこにサルスベリの大きい木が斜めに一本、ドーンと立っているんです。木には穴が開いていて、小泉八雲旧居でも目立つ木です。我々のセットでもそれを再現しようと思って、すごく似た木を造園部のスタッフが半年くらいかけて探して来てくれました。これがまた、本当に似た場所に穴が開いてるんですよ」

 木は非常に大きく、NHK内のスタジオに向かうエレベーターに乗るギリギリのサイズ。橋爪は「おそらくNHK大阪局に入った木の中で、過去最大の大きさだったと思います」と笑い、「この木には蛇が住んでいたという逸話もあって。それが現在の阿佐ヶ谷姉妹が演じる蛇と蛙にもつながっています」と話した。

 結婚生活のスタートに伴い、新居へ引っ越し、ヘブンに手料理を振る舞うなど、トキの暮らしにいくつもの変化が訪れる。そのひとつとして、着物も華やかなものへと新調された。

 橋爪は「着物は高いですから、何枚も買えるわけじゃない。ヘブンから20円もらっていても、松野家と雨清水家を支えていて、さらには借金の負債もあれば、新しい着物なんて買えなかったと思います。当時の貧しい人たちは本当にそういった暮らしをしていたので、そこを表現するためにもずっと同じ着物を着続けていました」と説明する。

 新たな衣装に袖を通す際、髙石は「やった! 違う着物が着れる」と大喜びしていたそうで、「やっぱりかわいい着物を着たいですからね」と橋爪。一方で、その喜びには着物の新しさだけでなく、ある苦労からの解放もあったことを打ち明ける。

「今まではホコリを表現するために、毎回毎回、着物にコーンスターチをかけていたんです。“動いたらホコリが舞う”みたいなことをずっとしていたので、ようやくコーンスターチから解放されたと(笑)。『ホコリから解放された!』『キレイになれる!』と、新しい服と共にとても感動していました」

 細部まで作り込まれたセット、変化を映す華やかな衣装。丁寧な演出が、『ばけばけ』の世界を豊かに彩っている。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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